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資本主義経済の結末=三つの危機で大津波が来る

ニッケイ新聞 2008年8月2日付け

 ブラジルの経済史では、金融、石油、食糧の三つの危機を一度に被ったのは初めての経験だとル・モンド・ディプロマチッケ七月号が報じた。三つの危機は互いに関連し、ブラジル経済の上に重く圧しかかった。
 危機は、地震となって経済を揺すった。経済スタッフが対処を間違えると、社会現象となって表面化する。経済指標は科学的ではないので過信すると、二〇〇九年は一九二九年の轍を踏む。
 米国発の金融危機は、流砂に足を突っ込んだようなものだ。投資銀最大手のベアー・スタンズ破綻に続き、メリル・リンチ、シチィ・グループ、リーマン・ブラザースなどが赤字決算を発表。
 IMF(国際通貨基金)は、津波警報を発した。ブラジルも米国発の津波に備えろというのだ。震源地は不動産ローン、地震の発生は二〇〇七年八月。金融危機は、不治の伝染病という。
 世界の大手銀行は自分の生き残りにかけ、他行救済どころではない。この金融危機は、国際経済を虚脱状態に陥れた。その一つが、ドーハ・ラウンドの決裂である。
 虚脱状態は、先進国に減速経済と景気停滞となって伝染した。これがブラジルを囲む国際経済環境である。ブラジルは幸い国内市場が育っていたが、欧米諸国は地獄の螺旋階段を降りつつある。次は失業の嵐だ。
 他山の石に学ぶなら、三つの危機が社会的混乱をもたらす。その第一が、外国人労働者の国外追放だ。スペイン政府は六月十八日、公式に表明した。これが世界的傾向となるなら、億単位の難民はどこへ行く。
 それに追い討ちをかけるように石油と食糧の高騰だ。難民は食糧と生活の安定を求め、企業は政府に補助金を求める。食糧危機で国家秩序が危険にさらされているのは、四十カ国とされる。

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