ニッケイ新聞 2008年7月23日付け
今年上半期の税収総額は、三千二百七十六億レアルで過去最高。六月の税収も、五百五十七億レアルで昨年同月比七・一%増の過去最高。好調な経済の追い風で、企業も儲けたようだ。
しかし、税収の記録更新が発表されるときは、ブラジル経済に何らかの歪みが生じていると疑って間違いないと経済評論家のミング氏がいう。
昨年同期比で見てインフレ抜きの一〇・四%増は、第一印象として悪くない。消費は伸び、生産システムも十分稼動している。社会保障院の引当金徴収が一二・六%増えたのも、当局の努力が伺える。次はアングラ経済をGNP(国内総生産)へ組み込む努力をすれば、なおよい。
疑問点を指摘すると、先ずGNPの二五%が税金であること。政府と公務員を養うために国民は、三カ月分の給料を捧げていることになる。しかし、それで終わったわけではない。政府にも自治体にも、食客の数は増え続けている。税収増を放置すると、GNPの三八%に達する。
次の疑問点は、政府の言い分が不明瞭なこと。小切手税一年分を失ったに関わらず、半年間に税収が四百五十三億レアルに達したこと。第三の疑問点は政府経費。政府経費を減らして、公債を決済する財政黒字を増やせといっても耳を貸さない。公債決済よりも政府経費を優先する。
予算管理の観点で見ると、政府経費は一二%増に対して税収増一六%。この数字に多少の変化はあるが、政府は垂れ流し的に金を使い、際限なく税金を取り立てることを意味している。
政府は、輪転機を回して印刷した紙幣は政府経費支払いに使っていないという。だから、インフレは政府が引き起こしたものではないという論理になる。経費は税金で賄っているというが、国民は騙されている。
インフレは、政府が引き起こす。政府経費を増やして金をばらまく。消費市場は過熱する。消費過熱が供給を上回れば、インフレは避け難いものとなる。インフレ対策を中銀に任せている。これが経済の歪みに、さらに歪みを増幅する。