ニッケイ新聞 2008年7月23日付け
百周年を記念して、秋田県を拠点に活動する漫芸家の大潟八郎さん(81)と演歌歌手の林葉子さんが来伯し、十二日にサンパウロ市の秋田県人会館で公演を行った。小松雹玄会長が二人を紹介する前から、大潟さんはマシンガンのような秋田弁の駄洒落や下ネタを連発して舞台に登場し、会場に集まった約六十人は終始、爆笑の渦に包まれていた。
「秋田弁で笑わせてもらって、感激しました」と公演の感想の語ったのは三浦徳治さん(84、同県出身)。「十歳でブラジルに来たが、いまだに秋田弁が忘れられない」とし、妻・岩子さん(77、福島県出身)と笑顔を浮かべた。
岡本キミさん(84)も「涙がこぼれた。私も八郎潟で生まれた。私が日本を出る頃は湖だったが、六十三年ぶり、十年前に帰郷した時には、埋め立てられてた」としみじみ。
昼から歓迎会となり、百周年を記念して兵庫県から送られた「神戸の美味しい水」のペットボトルも振る舞われた。百周年協会が式典後に、各県人会に二百本ずつ配ったもの。
挨拶にたった大潟さんは「今の日本は、国富て民貧しだ」と最近の猟奇事件が連続する日本の治安を憂いてみせ、「ブラジルでは高齢者はバスはタダ。日本より豊かだ」と賞賛した。初来伯は十八年前同会館が落成した折りで、会館建設に百万円を寄付した。二度目は八年前の県人会創立四十周年だった。
桜庭喜太郎顧問は「百周年でわざわざ来て頂いてありがたい」と感謝した。大潟さんらは三日に来伯し、タウバテ在住の安藤光明さんや海藤司さんらのコーディネートにより、グアタパラ、インダイアツーバ、アルジャー、サンジョゼ・ドス・カンポス、カンポス・ド・ジョルドンなどでも公演し、十四日に帰国した。