ニッケイ新聞 2008年7月23日付け
ブラジル相撲連盟(篭原功会長)が主催した第四十七回全伯相撲選手権大会、第十一回全伯女子大会、第十三回南米大会、第一回南米女子大会が十九~二十日にサンパウロ市アグア・ブランカの州立体育館で開催され、選手や応援ら約五百人が詰めかけ、熱戦が繰り広げられた。伝統の全伯大会を制したのは男女ともにスドエステ勢で、今年も破竹の勢いを見せたが、女子ではパラナ勢が健闘した。来伯した日本からの遠征選手団十四人(武田登団長、選手十人)は百周年を記念した親善大会でレベルの高い技の応酬を披露、会場からはサッカーの試合さながらの大声援が飛んでいた。
遠くはパラー、パラナ、リオ・グランデ・ド・スルなどの九チームほか、隣国のアルゼンチン、パラグアイ、ペルーからも参加、約四百人の選手らが出場し、全伯と南米一を競った。
男子全伯大会の重量級で優勝したのは、サンパウロから出場、昨年無差別級を制した樋口高大選手(たかひろ、25)。「嬉しい」と喜びつつも「本当は無差別級を目指していた。ボンレチーロの練習場が改修工事などで使えない期間があり、練習が足りなかった」と残念がった。
子供時代から通算すると全伯制覇は四回目。無差別級も二回優勝した経験があり、世界大会四回出場の覇者だ。
無差別級を制したのは、スドエステ(オザスコ)から出場したジューリオ・セーザル・ビエイラ選手(23)。昨年は重量級で優勝。「今年も重量級だと思っていたら、まさか無差別で勝てるとは思っていなかった」と喜んだ。
女子無差別と重量級の二冠を獲得したのは、パラナ州のジャナイーナ・シウバ選手(20)。決勝で、昨年優勝の姉ジャケリーネ(25)を破り、姉妹で一~二位を独占した。
ジャナイーナ選手は「とっても幸せ。相撲をやって良かった」と優勝の喜びを噛みしめた。今回六十人の大選手団を送り込み、女子で二階級を征したパラナ勢。アソシアソン・カイコが中心となっており、非日系人ばかり二百五十人で練習に励んでいるという。
団体部門では男女ともにスドエステが制した。男子団体二位はノルテ、パラーが続いた。女子は二位がパラナ、ノーバ・セントラルとなった。
男子南米大会の団体戦一位はペルー、二位ブラジル、三位パラグアイ、アルゼンチン。個人戦一はチアゴ・シアバレーラ選手。女子は一位ブラジル、二位ペルー、三位アルゼンチン、パラグアイ。個人戦一位はルシアーナ・ワタナベ選手。
最後に百周年を記念して「男子親善大会」が行われ、団体戦で一位日本A、二位日本C、三位ブラジルA、四位日本B。個人戦一位は神山達哉選手と日本勢が占めた。
優勝した神山選手(17)は「本当に嬉しい」と興奮した様子で語り、「初めてのブラジルだが、みなさんとても良くしてくれて移住したいぐらい」と語った。
ブラジル選手が日本勢を負かす場面も散見されたが、全体的には日本選手による密度の濃い技の繰り出しに手も足も出ずに、瞬時に押し出されたり、寄り切られたりする場面が多く、レベルの違いが感じられる展開となった。
今年の世界大会は十月十一~十二日に東欧エストニアで開催される。全伯大会の男女ともに無差別、重量、中量級優勝者や準青年ら十一人が参加する予定。