ニッケイ新聞 2008年7月22日付け
約二十万人が訪れ、大盛況に終わった第十一回日本祭。来場者の胃袋を楽しませたのはなんといっても、各県人会が用意した郷土食。好天に恵まれ、今年は多くの県人会が好調な売上げ。来場者たちは、多くの郷土食を楽しんでいた。
【鹿児島県】かるかん饅頭、さつま揚げ、さつま汁などを販売した鹿児島県。
さつまいもと鶏肉、こんにゃく、ゴボウなどを味噌味で煮込んださつま汁は、金曜日の日中には婦人会、夜はブラジル滞在中の鹿児島県研修生たちが交代で三百食を用意した。
二日目、三日目に気温が急上昇したこともあり、熱々の汁の売れ行きは残念ながら伸び悩んだ。
【北海道】北海道協会は、定番の焼きイカ、焼きニシン(八百尾用意)のほか、北海ちらし、塩辛などを用意。
六百杯用意したイカは初日、二日目とも完売し、最終日も終了時刻を待たず売り切れ。二日目午後には、三十分待ちにもかかわらず、長蛇の列ができていた。
【長野県】長野はもちや野沢菜、納豆、味噌など、自然食品を中心に用意。中でも野沢菜漬けは、日本の種をイタクアケセツーバで栽培した、まさに〃郷土の味〃。「手がかかる」と婦人部の皆さんは話していたが、その甲斐あってか、用意した七百食は快調な売れ行きを見せていた。
昨年から売り始めた納豆は、日本から菌を持ってきて作ったものだという。同会の菅沼雅子さんは「二世、三世の人たちも喜んで食べてくれます」と笑顔。
【岩手県】今年はじめて郷土名物「盛岡冷麺」を販売した岩手県人会。麺とスープは日本から。ビデオを見て作り方を研究したという。
小麦粉とでんぷんで打った麺と、キムチ、フルーツなどが入ったピリッと辛いスープ。珍しさもあって三百食を快調に売り上げた。冷麺を知らない客には「冷たいラーメンで、ピカンテ」と説明したとか。
【香川県】名物讃岐うどんは、一千二百食を用意。初日百、二日目四百食を売り上げる人気。好調は最終日も続き、ほぼ全食完売した。
「香川では毎日うどんを食べています。ブラジルでも宣伝しないと」と菅原パウロ会長。
【宮城県】屋台のまわりを七夕飾りが彩った宮城は、中沢宏一会長みずからヘラを手に焼きそばを料理。一度ゆで、中央の柔らかい部分を味噌漬にした宮城の牛タンは、今年百キロを購入。最終日の終了時刻を待たず売り切れた。
【静岡県】最高額は高知県の「蒸し」の三十レアルとみられるが、それに次ぐのは「鰻の蒲焼き」の二十五レアル。昨年は四百食用意して少々余ったため、今年は三百五十食を準備。婦人部らが総動員で五十人が裏方にまわった。二日目午後の時点で「明日売る分が無くなるくらい」と松浦アントニオ副会長は満足げな表情を見せた。
【茨城県】うずらの卵入りパステルなどを千八百食用意。鈴木康夫会長は「研修生、留学生を呼んで手伝わせている。うちは若い人とのコンタクトの場として、この場を活用している」と強調。書道部、墨絵部、篆刻部らも総動員だった。
【青空学級】サンパウロ日伯援護協会の自閉症児学級支援グループの青空学級は今年も焼き鳥。昨年は「焼き鳥が売れ残ったらどうしよう」と眠れなかった佐々木憲輔さんだが、「今年は足りなくなったらどうしようって感じです。もう明日の分まで売りきっちゃった」と土曜日の夕方時点で嬉しい悲鳴。援協副会長の菊地義治さんも「ブラジル人のお客さんで、去年食べて美味しかったからまた来た、という人がいた」と嬉しそうに語った。
【和歌山県】今年は三日間で、お好み焼き三千六百食を用意して、完売。木原好規会長は「今年もよく売れました。最後には、卵がなくなって、作れなくなってしまいました」と複雑そうな表情を浮かべた。
【福岡県】名物博多ラーメン、千鳥万十、かしわめしなどを用意。三日間で博多ラーメンを一千食用意しほぼ完売。母県からの来伯団が持ってきた。南アゴスチーニョ敏男会長は「火曜日ぐらいから、青年部をはじめ多くの人が手伝ってくれた。人は少ない感じがしたが、売上げは悪くなかった」と満面の笑みで話した。
【大分県】「飲み物が別々だったのがねえ…」。大分県人会の伊東信比古理事は、今回の酒類販売が限定されたことに苦言を呈する。
同県人会が準備したのは、トリ飯とだんご汁。好天に恵まれたせいもあり、売れ行きは低調だったという。
「ビールと一緒に売れていれば、違ったのでは。そもそも酒が売れないお祭りなんて、ねえ」とボソリ。
【滋賀県】山田康夫会長は、会場を並行するイミグランテス街道の夕方の混雑ぶりに、「暑過ぎた。プライアに行った人が多かったのではないか」と来場者が伸び悩んだことを分析する。
しじみ飯と餃子などを去年より多く用意したが、販売数は去年同様に留まったようだ。今年初挑戦の特製串カツは、千五百本売り上げた。