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三井物産=USP法学部に冠講座開設=次の百年睨んだ人材を=各界の第一人者が講義

ニッケイ新聞 2008年7月19日付け

 日伯間の理解を深め、更なる発展・文化交流拡大を促進する人材を育てるために、三井物産(本社=東京都、槍田松瑩社長)は、サンパウロ大学(USP)法学部に冠講座を開設することを決め、十八日午前、サンパウロ市サンフランシスコ広場にある同学部役員室で調印式を行った。創立百八十一年を迎え、十人の大統領と多数の法務大臣を輩出してきた由緒あるこの州立大学に、日本企業が協定を結ぶ形で冠講座を開くのは初めて。
 一流の講師による講座で、次の百年間を睨んだ人材育成を――。三井物産の申し出により、移民百周年(日伯交流年)という節目に新しい取り組みが始まった。
 ブラジル三井物産の中山立夫社長は「本講座を通じてブラジル人の日本社会・文化等への理解を深め、将来にわたって両国の友好の更なる発展と交流拡大に貢献できる人材の育成を支援していきたい」とのべた。
 これに対し、ジョアン・グランジーノ・ロダス法学部長は「貴重な資金を有効に使い、期待に添える人材育成で応えたい」と感謝した。
 同学部国際法・国際関係研究会からジョゼ・カルロス・マガリャンエス教授、パウロ・ボルベ・カゼラ教授、同社の浅野英樹取締役も立ち会い、協定書に署名された。
 同社の名を冠する講座の内容は、時流に合わせたテーマを、同学部との合議によって決定し、多岐に渡る分野を扱う方針。第一回目の講座は九~十月頃で、各分野に造詣の深い第一人者に担当してもらう。
 加えて、日本文化や社会関連の書籍類を集めた三井物産文庫(仮称)や冠講座受講者を対象にした短期の日本留学プログラムなども設置する方向で検討されている。
 同社は今後一年間で約五万ドルを、二月に設立されたブラジル三井物産基金を通じて寄付し、同基金と同学部から選出されたメンバーによる運営委員会が実施していく。
 同社はすでに中国、ロシア、ベトナムでも冠講座を実施しているが、中山社長は「世界最大の日系社会を有し、その方達の努力の成果もあり、非常に親日的な国ですので、やはり他の国々とはひと味もふた味もちがった意義がある」と強調した。