ニッケイ新聞 2008年7月15日付け
ブラジル日本語センター(谷広海理事長)が訪日就労希望者向けに行なっている短期の日本語教育事業「速成塾プロジェクト」。同プロジェクトの趣旨に賛同し一千万円の寄付を行なったフジアルテ株式会社の平尾隆志社長が六月に来伯、十八日、同センター主催の歓迎会が開かれた。
フジアルテ社は、大阪市に本社を置く総合人材派遣会社。今回の寄付は、二千五百人の在日ブラジル人を雇用している同社が、百周年と同社創立四十五周年の節目を記念して、去る三月に行なったもの。
二年前にはじまった速成塾は、教科書や指導書、絵カード、CD教材など独自の教材を開発し、短期間で基礎日本語会話や日本の文化・習慣などについて教えるプロジェクト。教師養成のための研修会はこれまで六回実施され、九十七人が修了している。
平尾社長はじめ同社サンパウロ事務所関係者など五人を招いて行なわれた歓迎会には、市内・近郊、州内はじめクリチーバ、ベロ・オリゾンテなど州外の日本語教師など約三十人が駆けつけた。
谷理事長は、四月の訪日中に寄付へのお礼のためフジアルテ社を訪れた際、同社で働くブラジル人など五十人から盛大な歓迎を受けた思い出を振り返り、謝意を表すともに、「これからも速成塾、ブラジルの日本語教育へお力をいただければ」と述べた。
教師研修修了者を代表して、ベロ・オリゾンテで「東洋文化学院」を営む金城澄子さんがあいさつ。同地は日系人が少ないため、日本への短期留学生などに教えている現状を説明。「日本へ行く人が以前のような苦労をせず頑張れるよう教えていきたい」と話した。
同社でブラジル人の採用を始めてから今年で二十年。のべ雇用人数は三~四万人になるという。平尾社長は、ブラジル・南米からの就労者が日本の文化や歴史を学ぶことの重要性を強調、「速成塾活動を南米に広げるため少しでも役に立てればと思い、今回応援させてもらった」と述べた。
センターから平尾社長への記念品贈呈なども行なわれ、参加者は食事を囲んで懇談した。