ニッケイ新聞 2008年7月15日付け
福田首相の人気はどうもぱっとしないがー喜代子夫人のファーストレディぶりには国民も拍手喝采である。洞爺湖サミットでの華やかな外交はもっと褒められていいし、女性が演じる交際の上手さにも目を向けたい。ブッシュ大統領夫人のローラさんら6首脳夫人らを招きお茶の会を開き、新鮮な野菜と魚類を販売する「北のまるしぇ」を案内と大活躍したのがいい▼羊蹄山を望む山小屋風の店ではアスパラなど野菜を軸にした仏料理をご夫人らは大いに楽しみ喜んだ。尤もーサルコジ仏大統領の令室カーラさんは日本に来なかったのでせっかくのフランスの味も残念だったろうが、舌に訴えるこんな喜代子さんの心配りが人々の胸を打つ。平安時代の女性貴族の正装である十二単の着付けのときにもあの色彩の美しさに感嘆の声を洩らした▼ロシアのメドベージェフ大統領は、北方領土の返還で粋な話をした法律の専門家で英才の誉が高いけれども、スベトラーナ夫人の日本好きも本格的なものと見たい。斉藤駐ロ大使の千恵子夫人から茶道の手ほどきを受けての訪日だし、洞爺湖の温泉街を視察し遊覧船に乗って感激したと日本の新聞は報じている▼こんな首脳たちの夫人に日本の文化を知ってもらうのは本当に難しい。十二単にしても重さが25キロを超え「襲の色目」もあるし、とてものほどに現代風とはいえない。それでもー古い時代のロイヤルファミリーの正装であり文化なのですーと説明し理解してほしいと願うのが「文化交流」であり、喜代子夫人は、この役割をきちんと果たしたと改めて評価したい。本当に「ご苦労さまでした」。 (遯)