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第47回パラナ民族芸能祭=百周年飾った晴れ舞台=クリチーバ=移民の歩みテーマに=満場2千人の大喝采

ニッケイ新聞 2008年7月12日付け

 今月一日からパラナ州都クリチーバ市で開催された「第四十七回パラナ民族芸能祭」で九日夜、移民百周年を記念したクリチーバ日伯文化援護協会(大嶋祐一会長)による公演が同市グアイーラ劇場で開かれ、会場を埋め尽くす二千人超の観客が駆けつけた。同協会が初回から同芸能祭に参加して以来、過去最高の来場者を記録。日本移民の苦労と足跡を辿る舞台演出を軸に、花柳龍千多さんから長年指導を受ける文協舞踊部の踊りをはじめ、日系子弟らのYOSAKOIソーランや和太鼓など、繊細さと迫力を兼ね備えたステージが二時間たっぷりと繰り広げられた。移民百周年記念曲を最後に据えたフィナーレは、日系・非日系問わずに日伯両国旗の小旗を振る来場者で溢れかえるなど、日伯両国の友好も象徴する感動的な舞台となった。
 「IMIN100 移民百周年年」の幕を掲げた大きな舞台。クリチーバ文協「若葉太鼓」の青年ら約十人による演奏が公演の幕開けを告げた。
 龍千多さんから十八年に渡り指導を受けている文協舞踊部は今年、大人二十人、子ども十人が出演。艶やかな着物をまとった生徒らは、第一部、第二部に渡って華麗な踊りを何度も披露し、会場から喝采を浴びた。
 とくに第二部初めの舞踊「さくら」では、同舞踊部の生徒らとともに、龍千多さんと丹下セツ子さんが特別出演。その華麗で無駄のない舞一つ一つに、会場の視線は釘付けとなった。
 同公演に三年連続で特別招待されている演歌歌手の井上祐見さんは、新曲「オブリガーダ笠戸丸」を披露。十四番埠頭に停泊する笠戸丸の写真を背景に、情感たっぷりにしっとりと歌いあげて会場の感動を誘った。
 同文協の若葉YOSAKOIソーラングループは、歌手として長年日本で活動したカルロス・トシキさん作曲の百周年記念ソング「百年の夢」で踊った。緩急ある曲調にあわせて、ダイナミックなダンスを披露した。
 サンパウロのメンバーを交えた琉球国祭り太鼓のグループは、約六十人が出演。観客席まで踊り手が並び、勇ましく迫力ある踊りで会場を圧倒した。また、日本語学校の純心学園の児童らは、「いつでも夢を」「ふるさと」「踊れサンバ」の三曲を歌ったほか、生長の家コーラス団が日本移民の足跡を辿る劇を歌とともに披露。ニプソン楽団の生演奏による「帰ってこいよ」「浪花節だよ人生は」のカラオケも会場を盛り上げた。
 若葉太鼓による移民百周年記念曲「絆」の演奏に続いて、最後は出演者総出で「海を渡って百周年」「ブラジル音頭」を踊り、感動的にフィナーレを飾った。
 同芸能祭は、各民族の伝統芸能の継承を目的に、パラナ州民族交流協会(AINTEPAR)が毎年七月ごろに開催。ドイツやイタリア、スペイン、ウクライナ、ギリシアなど十以上の民族系コミュニティが参加し、後日、公演の来場者数などを基準に優勝グループを決める。昨年の同文協の公演では約千三百人が来場し、総合三位だった。
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 同日深夜、市内ホテルであった打ち上げ会。「毎年切符を売るのが難しいのに、今年は足りないほどだった。大成功です」。大嶋文協会長はこう笑顔を見せて、公演の成功を喜んだ。
 十八年にわたり同文協の舞踊部を指導してきた龍千多さんも「こんなに大勢の人が来てくれるなんて」と驚きながらも満面の笑みを浮かべた。
 舞踊部生徒の久保毬さんによれば、龍千多さんは毎月三日間ほどサンパウロからクリチーバに通い、朝から晩までぶっ通しで生徒の指導にあたってきた。
 「今日の成功は先生のおかげ」。部員らはそう感謝した。龍千多さんも「舞台で〃魅せる〃ために生徒たちに高い着物を買ってもらった。みんな練習熱心で私はよい弟子をもった。幸せです」と感慨深く述べた。
 龍千多さんと十年近く同芸能祭に特別出演する丹下さんは、三カ月ほど前に足の小指を骨折し、外出もままならない状態が続いていたが、「この日のためにすべてを断って準備してきた」。日本舞踊の伝承に努力する龍千多さんの熱意にも、大きな賛辞を送った。
 ブラジル公演十周年を迎えた井上祐見さんは、「今年もこの芸能祭で歌えたのも龍千多先生のおかげです。今後もこうした縁を大切にさせて頂きたい」と感謝していた。