ニッケイ新聞 2008年7月11日付け
最高裁のメンデス長官は九日、先に犯罪組織の構築容疑で拘束したオポチュニティ銀行頭取のダニエル・ダンタス容疑者他同行関係者十人の釈放を指示と十日付けエスタード紙が報じた。理由は、銀行経営者の疑惑解明に拘束が法的根拠を欠くという。元サンパウロ市長のピッタ容疑者と大口投機家のナハス容疑者は、十二日まで拘束。
連警のサチアグラハ作戦により八日、公金横領と金融犯罪により拘束された同行関係者十人は、最高裁長官の指示により十日釈放された。犯罪は、先に告発されたヴァレリオ容疑者の裏金システムを導入した大掛かりな組織であった。
同組織が、扱った取引きは十九億レアル以上と見られる。サンパウロ市連邦地裁第十九刑事法廷が発行した拘束令状は、尋問の根拠となる証拠を欠くと最高裁が指摘。人身保護令の適用を拒否した副検事総長の見解をも、否定することになった。
容疑者一同はサンパウロ市ラッパの連警拘置所へ送られ、ダンタス容疑者とピッタ容疑者は別房へ収容された。親族がマットや敷布、毛布、タオルを差し入れたので、中世風の牢獄は逃れた。
ピッタ容疑者の独房は、銀行関係者らが手錠つきの数珠つなぎで到着したので賑やかになった。ピッタ容疑者は持病の糖尿病ダイエット食を拘束中は拒否され、糖度調整はできなくなった。
ダンタス容疑者の弁護士が最高裁へ提出した書類によれば、フォーリャ紙四月の報道を出発点に、連警によるダンタス包囲作戦を展開したことに始まる。ダンタス容疑者は連警の溜まり場であった連邦地裁へ実態調査に赴いたが、一切の情報提供を拒まれた。
ライバルの罠にはめられたと悟ったダンタス容疑者は、サンパウロ市連邦地裁に人身保護令の適用を申請したが、上層部からの手が既に回っていたという。ライバルの裁判所ぐるみダンタス追い落としだと弁護士は訴えた。
ダンタス容疑者を挟んで、PT(労働者党)執行部に二派があるらしい。ダンタス擁立派と追い落とし派の血を血で洗う戦が始まるようだ。連警が政治警察になっているという抗議にも、メスが入るらしい。