ニッケイ新聞 2008年7月11日付け
北海道で外国人が多く泊まる宿を経営し、日本語教師でもある人の話。北海道新聞で読んだ▼日本語の片言が話せる外国人に「上手ですね」とホメてもあまり喜ばれないそうだ。意外だった。日本人の多くは、ブラジルで「あなたはポ語が上手い」と言われたら、悪い気がしないと思うからだ。そう思わないのは、ブラジル人並みに話せる人である▼北海道の外国人の場合、旅の途中たくさんの日本人に「上手ですね」といわれていて、いささか、うんざりしているというのである。宿の主人は、こういう外国人に対しては、つとめて英語にするか、ゆっくり易しい日本語で会話をすすめるそうだ。一生懸命話そうとするかれらの気持を汲むわけだ。敬語や擬音語(犬がワンワンと鳴く)、擬態語(星がキラキラ輝く)をできるだけ使わず、「ですます調」で話すと最もわかりやすいという▼この外国人と日本語の話は、あまりポ語を話せないブラジルにおける日本人と、相手をするブラジル人の場合の〃望ましいあり方〃にもヒントを与えると思う。ブラジルに来て日が浅い日本人にもいえるし、何十年もいるのに、まるで上達が望めない年配移民にもあてはまりそうだ▼それにしても、あなたはポ語が上手、といわれたらどんな気持だろうか。ポ語の聴解力が弱く、話がヘタな筆者などは、カオを顰(しか)められたことはあっても「上手い」といわれたことは一度もない。せめて、お世辞にでもそういわれるようになってみたいものだ。(神)