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外資の干潮始まる=投資有望国ははかない夢

ニッケイ新聞 2008年7月5日付け

 サンパウロ市証券市場から外国人投資家が六月、七十四億レアルを引き出し、過去最高の資本流失となった。この資本流失は、地場の投資家に少なからぬ衝撃を与えている。
 七月に入ってからの株価指数は続落を続け、八・八三%下げた。七月の初週は、常識で解せないような奇妙な動きだと関係者が首をかしげた。
 七月三日は、活気づける情報はない。国際経済の先行き不安や疑心暗鬼の米経済、ブラジルを含む世界的インフレ到来。EU銀行は、インフレに備え政策金利の引き上げを行ったことで、市場に暗い影を落した。
 ブラジルの証券市場は、コモディティに直結しているペトロブラスとヴァーレが支えているようなもの。もしも、外資流失の流れが続くなら、同二社の株も売られると予想される。
 ブラジルがFitchから投資有望の格付けを引き上げられて一カ月になるが、まだ外資流入と融資提供の保障はない。これは饗宴もお開き近くになってから、招待状を貰ったようなものだという見方がある。
 饗宴は、長時間にわたった。テーブルのご馳走も少なく飲み物もなくなったことで、誰にも宴はお開きと分かる。楽団も音楽を奏でない。みんなタラフク食って飲んだのだ。ブラジルが招かれたのは、遅かった。
 宴の終焉近くなって、ブラジルによい風が吹いた。大した構造改革もしないのに、輸出は記録更新、外貨準備は過去最高で有頂天になったのだ。ルーラ第一政権では、程ほどの結果を出した。
 それで鬼の首を採ったような気分になるのは、早い。政府経費削減では無気力。赤字国債は、増えるばかり。社会保障制度の雪だるま式赤字は放置。Fitchは、サントス沖の油田で社会保障院の赤字を、何とかしろと提言している。