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インフレ、配当を上回る=経済が危機的局面=主役はG7からBRICsへ=ブラジルも責任の一旦を

ニッケイ新聞 2008年7月2日付け

 ジェツリオ・ヴァルガス経済財団は三十日、二〇〇八年上半期のIGP=M(総合物価指数)が六・八二%上昇と発表し、信託投資の配当率を上回ったと七月一日付けエスタード紙が報じた。これまで最も有利とされた確定利付きファンド投資も、配当率は四・五五%に過ぎない。
 全ての投資ランクでトップの座にあった確定利付きファンド投資も、インフレに負けた。これは一九九九年に経済が安定して以来、初めての危機的現象といえそうだ。
 サンパウロ市証券取引所の株価指数は、一・七七%上がったに過ぎない。六月などは一〇・四三%暴落し、二〇〇四年四月以来の最低水準である。
 国際決済銀行(BIS)は、国際経済がインフレと減速経済の同時進行を迎え、第二次大戦以来、最大の危機的局面にあると発表した。これは二〇〇〇年当初、クレジット・バブルを放置し、抑えなかったツケがいま回ってきたのだという。
 BIS報告によれば、ブラジルはインフレを国内で抑えるために高金利政策を採り、レアル高を来たしたという。産業を空洞化させ、ジレンマに遭遇した。そのため、経済政策の見直しを迫られると見ている。
 国際経済は、原油高で減速経済に入り、流通量の引き上げと金融引締めを同時に行おうとしたとき、インフレを迎えた。BISは危機を二カ月位と見ていた。先進国の立ち直りは期待薄でも、BRICsが挽回してくれると予想していた。
 ところがBRICsの国内需要が高く、高金利と通貨高でインフレ抑制を余儀なくされた。最早国際経済の動向を占う鍵は、先進国ではなくBRICsに移っている。
 これから国際経済の診断はG7ではなく、BRICsの責任において判断する必要がある。現在直面する問題は、インフレだ。いまは時代の過渡期にあるため、その解決も時間がかかるとBISは見ている。
 原油と食糧の高騰、米金融危機を解決するため、BISはデフレ政策を採り情況を反転させる考えだ。それにはBRICsが、インフレを伴わない低率経済成長に馴染むよう期待するという。