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世界の熱帯雨林消滅問題=47・8%はブラジルで起きる=効果的対策打てない政府

ニッケイ新聞 2008年7月2日付け

 一日付け伯字紙が、米国研究チームのデータとして、二〇〇〇年~二〇〇五年の世界の熱帯林消失面積二億七二〇〇万平方キロ中、四七・八%はブラジル内で起きた伐採や焼失によるものと報じた。
 東京では先週、先進八カ国(G8)と途上国五カ国の代表による環境問題討議も行われたが、森林破壊は地球温暖化ガス発生原因の二〇%を占める上、ブラジルの熱帯雨林面積は世界全体の三分の一でありながら、消失の半分がブラジル内で起きたという世界的責任は大きい。二位のインドネシアの一二・八%に比べ、四倍近い面積をブラジルは消失したことになる。同時期のブラジル内熱帯雨林消失面積は国内の熱帯雨林全体の三・六%だが、一月二十日付けエスタード紙は東部アマゾンは既に二〇%を消失と報じている。
 特に消失面積が集中していた(五%以上消失)地域は、マット・グロッソ、ロンドニア、マラニョン、パラー各州とスマトラ、ボルネオ、マレーシア、カンボジアなど。熱帯雨林全体の六%の地域が消失面積の五五%を占める。
 次いで消失度の高い地域(〇・七~五%)は、アマゾン川流域やアクレ州、ボリビア、ペルー他、ジャワなどの東南アジアで、熱帯雨林の四四%の地域が消失面積の四〇%を占める。
 消失度〇・七%以下、消失面積の五%を占めるのは、農業生産物の売買が盛んではないアフリカ諸国とラ米の多くと法定アマゾンの一部で、熱帯雨林の五〇%を占める。
 五月中の法定アマゾンの森林消失は昨年同月比二六%減の二九四平方キロとの報告も六月下旬にあったが、その六一%は政府が乱伐対策で指摘した三六の自治体で起き、禁止されてもなお伐採が続いている実態は明白。
 また、アマゾン保護対策を打ち出しても、法定アマゾンの面積削減を検討したり、農業部門の融資規制を緩める判断を下したりするルーラ政権は環境保護より経済重視との声も出ている。
 三十日付けフォーリャ紙は、G8プラス五カ国の会合後、英国前首相ブレア氏が「ブラジル政府が懸命に努力しても森林破壊が続き、国際社会の協力が必要」と発言と報じたが、年初には、ブラジルが明確な目標を定めて断固とした対策をとらない限り、百年以内にアマゾン壊滅の予告もあった。