ニッケイ新聞 2008年6月28日付け
米国大企業の業績不振と原油四%高騰の発表が世界の金融市場を動揺させたことを受け、サンパウロ市証券市場の株価指数が二十六日に二・八九%落ち込んだと二十七日付けエスタード紙が報じた。原油高騰で追い風のペトロブラス株が支えなければ、今年最悪の日になったと予想される。
ゴウルドマン・サックスが米二大企業のシティグループとGMの経営不振を発表し、投資家は米経済の実態が予想を下回り、期待した下半期の回復は望み薄であると判断したようだ。
シティ株は過去四年最低の六・二六%下げた。GMはさらに悪く、一一%の暴落。過去三十四年で最低水準。FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンク議長は、米経済が回復するためには、さらに資金が必要であることを吐露した。
サンパウロ市証券取引所は、S&Pが格上げをして以来、六三・九四六ポイントで最低の取引き状況となった。
金融市場は表面的な出来事で動揺するが、株価指数の変化が時代の過渡期を暗示していることに気づくべきだとして、米ダウ・ニュースが「米国の資産が現在、途上国へ移動している」との題で次のように提言した。
今日の資産移転が、明日のグローバル証券市場に反映する。世界はこれまで、米国という大きなけん引車にぶら下がっていた。それが、途上国の多数の小さなけん引車にシフトしつつある。
特にブラジルが、新しい投資先として注目されている。米国に投資するより、ブラジルに投資するほうが安全だと暗示しているという。米投資家にとって海外投資は、直接であれ間接であれ伝統といえそうだ。
投資家は、危険分散のため投資先を複数求める。特に投資先の過去一年におけるインフレの進行率から、投資家はインフレ・リスクをしっかり把握する必要がある。
金融市場の投資は、時代変化の中の航海だ。未知の国への処女航海には、予測不可の出来事や高波もある。投資家とは、新時代を建設する精神異常者のようなものではないか。