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百年史写真集 サンパウロ到着=1冊でよく分る=記念協会百年史の別巻=日系書店などで発売開始

ニッケイ新聞 2008年6月19日付け

 日本移民百年の歴史が一冊で分かる百年史別巻写真集が、ようやくサンパウロ市に届いた。これは、ブラジル日本移民百周年記念協会の百年史日本語版編纂委員会(森幸一委員長)が、四月に東京の風響社から出版した百年史別巻の写真集『目で見るブラジル日本移民の百年』だ。
 商船三井と日通の協力により、約千六百冊が今回運び込まれ、今週から日本文化週間が行われているアニェンビー会場内を始め、ブラジル日本移民史料館、日系各書店などで七十レアルで販売されることになった。
 笠戸丸以前の渡航者から初期のコーヒー園での労働、戦前の植民地での暮らしや日本語学校の様子、勝ち負け事件に関連した貴重な写真の数々、台頭する二世世代、躍進する日系企業や進出企業、日系新宗教、デカセギブームまで百年の歴史を二百頁余に凝縮した。
 ブラジル日本移民史料館(栗原猛運営委員長)が今年創立三十周年を迎えることも記念しており、同館所蔵の約六千枚に加え、全伯十日系博物館から写真提供を受け、そこから約二百五十枚の貴重な写真を厳選、日ポ両語で説明、概説、年表などをつけた。
 編纂委員会としては、今まで移民史にあまり関心のなかった日系若者層にも気軽に手にとりやすく、非日系人にも分かりやすいような写真集にしたいと考えて編纂している。各地の日系団体や県人会の青年部などに常備して読んでもらうとか、日本から来る来客にプレゼントするなどの使途も想定している。
 同時に日本側においては、日系ブラジル人の多い地域の公立図書館や学校図書室に常備してもらい、日系子弟が自らの出自に誇りを持つきっかけに活用してもらったり、ブラジル人に興味を持った日本人地域住民に理解を深めてもらえる写真集になれば、としている。
 写真集は二色刷り、サイズはB五版。なお、日本語版百年史編纂プロジェクトでは今後、資料編、分野別編、地域編、総論などを毎年一冊ずつ約五年間かけて出版していく予定。
 来年から出版される本編に向けて、百年史編纂委員会ではメンバーを再編している最中だ。同時に各地方の文協や連合会内などでも、独自に記念誌編纂委員会が組織され、資料収集が進められている。百年史編纂委員会では、これら各地の委員会と協調した体制を組むために連絡を求めている。移民史料館(中村、11・3209・5465)まで連絡を。
 また、日本語版編纂委員会では五年間の総予算二十八万ドルのうち、現在のところ半額程度のめどしかたっておらず、引き続き資金的な支援を求めている。