ニッケイ新聞 2008年6月18日付け
毎日生活し、子どもたちが遊ぶ場所が、発ガン性物質に汚染されていたら。そんな可能性を示す記事が十五日エスタード紙に掲載された。
サンパウロ州の環境浄化技術公社(Cetesb)によると、二〇〇七年に指摘された化学物質による土壌汚染地域は、前年比二五%増の二二七二カ所。内訳は、サンパウロ市七四三、サンパウロ市周辺部四四二、奥地七八六、海岸部一五三、ヴァレ・ド・パライバ地域一四八で、監査の厳格化などで今後さらに増えるはずだという。
汚染物質としては溶解剤、燃料、金属他、高発ガン性が指摘される多環状芳香族炭化水素(PAH)などが挙げられている。これらの物質は河川に流れ込み、遠隔地に影響を及ぼす可能性がある他、血液循環系を犯し、白血病などのガンや神経系の病気などを引き起こす可能性もあるという。
また、頭痛やめまい、意識障害、白血球減少などを引き起こすベンゼンなどのハロゲン化物質も特筆されているが、化学物質の長期に及ぶ影響では、腎臓や肝臓、心臓などの疾患も起こり得る。
ベンゼンというと、二〇〇〇年にマウア市で爆発事故が起きたコンドミニオも思い出されるが、七二棟からなる同コンドミニオは企業のごみの埋立地上に建っており、事故によりメタンガスとベンゼンによる汚染が表面化。二〇〇六年に全員退去、建物破壊の決定が出されたが、今も、損害補償を受けて退去すべきとする人々と、立ち退き反対派とに分かれている。
このコンドミニオ同様に汚染土壌の上に人が住んでいる地域は、二〇〇五年までに一五七カ所指摘されており、環境や健康の問題とともに、建物の価値喪失の問題も起きている。
土壌汚染の大半は、ガソリンスタンドの燃料漏れ七七%、工業生産に伴うもの一四%など、危険物の扱い方の知識不足や基準に従っていないせいだが、汚染後の対策も遅れており、解決には多大な時間と経費を要する。
十四日フォーリャ紙には国内三百都市排出のごみで、国のエネルギーの一五%を生産可能との試算もあるが、環境保持、健康維持には地域の協力、監視の目も必要だ。