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米政府=第4艦隊、伯近海に配置=南大西洋、波高し=南米テロ反米組織に布石=ブラジルも警戒圏内か?

ニッケイ新聞 2008年6月17日付け

 ブラジルを始めとする中道左派政権ブロックが南米に定着したことで米政府は十一日、ニミッツ級原子力空母とイージス艦や原子力潜水艦などの十数艘からなる艦隊を南大西洋に配置と十四日付けル・モン紙が報じた。一見平穏の南米大陸だが、水面下のテロ戦が始まっているらしい。
 米政府のブラジルに関する懸念は、四つ。一、大油田の発見。二、大豆やサトウキビなどの植物資源。三、鉄鉱石やレアメタルなどの鉱物資源。四、豊富な水資源。どれも戦略軍需物資である。ブラジルは、米国に代わる覇権国家になり得る条件を備えていること。 
 米政府は四月、引退中の第四艦隊を起用、南米向けに改装を始めた。完成すれば、最新鋭装備が施された艦隊が誕生し現艦隊と交代する。中心は、核弾頭を装填した原子力空母で戦闘機九十機を搭載。これには何があっても、南米諸国は太刀打ちできない。
 米政府の艦隊配置は、軍事目的よりも政治目的のようだ。ブッシュ米大統領は五月七日、議会で演説をした。最近ベネズエラ・イラン・ヒズボラ/ハマスの反米網が築かれ、南米トライアングル地帯が資金調達拠点になっているという。
 南米諸国の圧力に悩まされるコロンビアの隣には、キューバと同盟を結んだ反米政権ベネズエラがいる。Farc(コロンビア解放前線)に避難場所として領土通過を提供。コロンビアとの連帯強化は、南米大陸規模で展開すると米大統領は声明を発表した。
 ヒズボラ・ハマスの資金調達法は、麻薬や武器の密売、資金洗浄、公文書偽造など。最近べネズエラとイランの間に定期空便が開通した。ベネズエラが、テロ活動の仲介役を担当するようだ。
 左翼政権の強化にエネルギー資源が役立っていることは、明白である。米政府は南米で失った基地の代替に、艦隊を配置すると米大統領がいう。艦隊に最新鋭装備を施したのは、南米諸国が勝手なことをしないための圧力だとしている。
 一方では、ブラジルを仲介に外交努力を行い、紛争が火力戦に至らないようにする。しかし、ブラジルの海底大油田発見で、米戦略構想を根底から見直す必要が生じた。埋蔵量は、ブラジル当局の発表より遥かに多いと米政府は見ている。