米国がイスラム国への包囲網を作ったり、太平洋では対中国の大規模演習が行なわれるなど、北半球は騒がしくなるばかり。幸いなことにブラジルでは民族テロも宗教戦争もない。全伯短歌大会の題詠では「世界中今も昔も平和なし真の平和は先ず家庭から」という作品も。「敗戦の焼あとの中這い出でて探し求めて平和な国へ」からは戦後移民らしい視点が感じられる。1位の「森深く平和に暮らす先住民森を焼かれて荒地さまよう」はインディオを詠んだもの。たしかにテロは無いが、森を焼かれる先住民がいて、銃犯罪死者が年5万人とへたな戦争より多いなど、実はブラジルも平和ではないのかも―と考えさせられる1首か。
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約1500枚もの写真が収録された沖縄県人会の100周年記念写真集。編集委員が発見した新資料が満載で、かなりの読み応えがある。しかし、写真集めのために各地を行脚した前田徳英副会長は、「調査中に知った県人の苦労や活躍はまだ書ききれていない」と心残りがあるという。写真集という性質上、個人史的な文章はあまり載せられなかったそうだ。写真集が完成したばかりで少々気が早いかもしれないが、ぜひ次は「個人史集」も期待したいところだ。
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グロリア街に置かれた羽藤親子の選挙看板に、突き刺したような穴が開けられている。他候補者のもいくつも置かれる中、なぜか羽藤ジョージサンパウロ州議と、連邦下議に初出馬した息子のアレックスさんの分だけ顔に穴が。何かの腹いせか? 特定の日系候補を狙った行為だけに、少々不気味だ…。