ニッケイ新聞 2008年6月13日付け
三月四日付け本紙でサンパウロ市の大気の状態悪化と報じた際、「環境浄化技術公社(Cetesb)が奥地にも観測点を増やして総合的な資料の収集、分析を行おうとしている」と記したが、十二日フォーリャ紙が、サンパウロ州内に重度の大気汚染地域が十四カ所あると報じた。
それによると、過去三年間に州内八十カ所でとったデータでは、十四カ所が重度の大気汚染地域。Cetesbが汚染物質毎の分析を行い、大気状態が不適当とされた地域を軽、中、重度の三段階に類別したのは初めてで、オゾンの問題が最も深刻だという。
類別中、重度と判断された地域は、大気汚染が長期または頻繁に起きている地域で、サンパウロ市内では、イビラプエラ公園やサンパウロ総合大学(USP)周辺、モオッカ、サンタ―ナ、オルト・フロレスタウなど、七カ所が重度。その他、中度が二カ所、軽度が三カ所挙げられている。
また、サンパウロ市以外では、ABC地区三市とオザスコ、マウア、ジアデマ各市、クバトン市ヴィラ・パリジが重度の汚染地域。その他、十七カ所が中、軽度の汚染地点として報告されている。
重度の汚染地域と判定された地域の大半は、窒素酸化物や揮発性有機化合物に太陽の紫外線があたって発生するオゾン濃度が高いとされた地域だが、クバトン市ヴィラ・パリジの場合は、すすなども含む大気中浮遊物質の影響が大きい。
一方、サンカエタノ市は、オゾンの他、一酸化炭素や二酸化窒素の濃度も高く、判定基準以下ではあったが浮遊物質も観測。特に、石油や石炭の不完全燃焼時に発生する一酸化炭素が、最高値の十一ppmを記録したことが特筆されている。
大気汚染の問題は、大気による汚染物質移動や、隣接都市間をつなぐ交通機関の影響など、自治体単独での解決は困難。また、バスなどの交通機関や企業の設備近代化、ディーゼルの燐含有量削減など、官民一体での対策も必要となる。
一方、気温が二五度以上で風が余りない日中はオゾン濃度が上がり、光化学スモッグの発生の可能性も出てくる。屋外でスポーツを楽しむ場合、オゾンの影響よりも運動効果の方が大きいというが、空気が乾燥し、風のない日中は運動を避けるといった注意を忘れずに。