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歩こう友の会=「百年の道ウォーク」始まる=初日サントスは250人参加

ニッケイ新聞 2008年6月13日付け

 【既報関連】リベルダーデ歩こう友の会、SESCサンパウロ、日本ウォーキング協会が主催する日本移民百周年事業「移民百年の道ウォーク」が十二日朝、サントスで始まった。
 この事業は、サントス港に着いた日本移民がサンパウロの移民収容所まで汽車で通った道のりを、四日間に分けて歩いてたどるもの。
 初日の出発点となったサントス市観光局広場は、かつて鉄道駅として利用され、現在も建物の前には線路が残されている場所だ。
 同事業に参加するため、日本から木谷道宣・日本ウォーキング協会副会長を団長に三十三人がブラジルを訪問。歩こう会の八十人、日系を含むサントスの住民など、計二百五十五人(主催者発表)が参加した。
 午前九時過ぎからの開会式にはサントス市、SESC本部からも代表者が出席。歩こう会の高木ラウル会長は「体に気をつけて楽しいウォーキングにしてください」と呼びかけた。
 日本側、サントス側のインストラクターが、参加者にそれぞれ日・伯の準備体操を指導。九時四十五分ごろ、先頭の参加者が両国の国旗を持ち、スタートした。
 軍警、交通局の車両とともに、非常時に備えて主催者の自動車も伴走。二、三人で列を作って歩く一行に、横を過ぎる車から声援を送る地元住民もあった。
 ブラジルでウォーキングに参加するのは〇一年以来二度目という木谷団長は、「百年前に移住した先人が歩いた道は、今のように舗装された道ではなかったでしょう。そうしたことを思いながら歩きたい。百年前の人たちも喜んでいるのではないでしょうか」と話す。
 全国龍馬社中の会長をつとめる橋本邦健さん(高知県ウォーキング協会会長)は今回、同会ブラジル支部創設のため訪れた。「高知県出身の水野龍が第一回移民の道を開いた百年後に、私たちが会を作り、ウォーキングに参加できたのは嬉しい」と笑顔。
 歩こう会から参加した中野文雄さんは、現在八十六歳。三五年の移住時は直接配耕地へ向かったため、収容所には行っていないが、「いつもこれが最後だと思いながら参加しています」と笑顔で話す。今回は初日と最終日に参加するという。
 サントス在住の浦本房江さん(77)は、一九三三年五月、三歳で移住した。「サンパウロまでのことは覚えていないけど、港へ着いた時のことは覚えています」と話す浦本さん。「ちょうどフェスタ・ジュニーナの時期で、父に買ってもらったカイピーラの麦わら帽子を海に落としてしまってね。悔しかったのを覚えていますよ」と思い出を語った。
 同ウォークは二日目に海岸山脈の旧街道、三日目にサンベルナルド・ド・カンポ市を通り、最終日の十五日にモオカ区の旧移民収容所(現・サンパウロ州移民記念館)へ到着する予定。各日とも距離は十~二十キロ程度。