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食糧危機=二〇一〇年に再来=肥料と農薬の自給体制を

ニッケイ新聞 2008年6月12日付け

 ステファネス農相は十日、食糧危機は二〇一〇年に再度訪れ、短期間に価格安定の見込みはないと語った。国内の食料価格インフレ防止を図るには、鳴り物入りの食糧増産計画を打ち立てるしかないという。
 それには国産の肥料や農薬生産を奨励し、輸入依存をできるだけ減らす必要がある。そのためペトロブラスが、肥料農薬の製造企業と合弁で国産化に努力するよう勧めると農相が述べた。
 従来の豊作貧乏による価格抑制や暴落すれば知らん顔の生産者を犠牲にする農政は、後で必ずツケを払わされる。これは農業政策の邪道という。
 農産物価格は、二〇〇九年まで横ばい。二〇一〇年以降は、原油高騰で生産にも異変が起きる。そのためにブラジルは、農業のインフラ整備と営農資金の確保が必要だと農相が警告した。
 ブラジルには、有機質分解によって表土が流出した荒地が多い。これらの荒地回復も、大きな事業だ。荒地回復は環境省の管轄で、環境省は机に座って衛星による森林伐採管理だけでなく、現地作業も必要だという。
 肥料の三要素、窒素と燐酸は政府の政策次第で自給できる。輸入に頼るのは加里だけである。ブラジルの肥料市場は三社が独占し、正常な機能を損ねている。
 このような独占体制を防ぐためペトロブラスが肥料業界へ参入し、経営改善をする姿勢を築くべきである。ペトロブラス一社でなく多国籍企業を招き企業連合を組織し、公正な営業を行うため目を光らせるだけでよい。