ニッケイ新聞 2008年6月7日付け
空港業務公社(Infraero)のジョゼ・C・ペレイラ総裁が外資系企業へのVarig航空売却は違法であるとけん責したが、ロウセフ官房長官が「おまえの出る幕ではない」と恫喝したことが五日、明らかになったと六日付けエスタード紙が報じた。サンパウロ州地裁のジョゼ・マガノ判事は、検察庁に事実解明を要請した。
サンパウロ州地裁第十七民事法廷は、VarigLogの内紛訴訟記録を検察庁に送り、ロウセフ官房長官の関与疑惑を解明するよう求めた。政府閣僚の犯罪捜査は、検察庁の権限下にある。
官房長官の関与が立件されると、ソウザ検事総長は最高裁へ告訴手続きを行うことになる。関与は、一企業への便宜と監督官庁への圧力。Anac(国家航空庁)が、Varigの売却を承認した経緯も調べる。
Varigを買収したVarigLogの経営陣は、三人のブラジル人であった。Anacが経営者をラランジャ(名義賃貸人)と見て、所得税申告を調べていたのを官房室が阻止し、圧力で出資内容を捏造したという経緯も追求する。
買収を成立させるため、VarigLogの内紛訴訟の期日を官房室の指示で偽造した。買収成立の直後、VarigLogの経営者三人は背任罪で、事実上の出資者ピーターソン・ファンドから追放された。
VarigLogの訴訟に携わったテイシェイラ弁護士は、ルーラ大統領子息の里親としてふれ回っていた。知人間では、大統領との間柄を利用し直訴するロビストとして知られていた。特に航空業界のフィクサーとして一目置かれた。
テイシェイラ弁護士への謝礼は高額であったが、依頼は聞かれた。大統領との癒着が同氏の切り札で、弁護士業は看板だけであった。ルーラ大統領は不遇時代、同氏提供の住宅で家賃を免除してもらった。
ロウセフ官房長官が空港公団総裁を恫喝したのは、関係者に少なからぬショックを与えた。国家航空庁は、官房長官の前では狼と羊だという。大統領府は、どの官庁も官房長官に歯が立たないそうだ。