ニッケイ新聞 2008年6月4日付け
移民百周年を記念して、リオとサンパウロで行われる静岡県浜松市の伝統行事、大凧揚げの日程がこのほど、正式決定した。リオでは、世界的に有名な観光地コパカバーナ海岸で二十四日午前九時から正午まで、サンパウロではサンパウロ市内チエテ・エコロジコ公園内で二十八日午前十一時と午後二時(予定)から、それぞれ実施される。凧揚げ部隊として、日伯移民百周年記念事業浜松実行委員会(石井エツオ浜松ブラジル協会代表)のメンバーである、浜松まつり本部凧揚げ部員や浜松市部長会凧揚げ会有志ら、約四十人が来伯する。日伯友好のシンボルとして、浜松の大凧が南米の青空で勇壮に舞う。
凧揚げの企画は、〇六年一月、リオ州の百周年記念事業委員会(鹿田明義委員長)が浜松市長宛てに要請したのがきっかけ。当初リオだけの予定だったが、サンパウロの移民百周年協会の強い要望があり、二都市での開催が今年決まった。
静岡新聞によれば、今回の凧揚げ用に、六帖凧五枚と八帖凧一枚が製作された。骨組みを外した状態で、すでにリオに発送済み。鹿田委員長によると、展示用の三帖凧二枚も送られており、これらは十六日から来月初旬にかけて、リオ市内のカイシャ・エコノミカで、一般展示される。
日本からの一行は、二十二日にリオに到着し、現地実行委員会主催の歓迎夕食会に参加。二十三日に会場でのテント張り、凧の糸目付け、尾骨などを取り付けし、同日夜に日伯交流音楽祭に出席する。
リオの凧揚げでは、地元のブラジル人や子どもたちを含めて三百人近くが、凧揚げに参加する予定。その後、サンパウロに移動して準備ほか市内観光し、二十八日、植林が進められているチエテ・エコロジコ公園で凧を揚げる。同日夜、帰国する。
浜松の凧の歴史は古く、約四百三十年前、同地の城主が長男の誕生を祝って凧を揚げたのが始まりと言われる。その風習は今も「初凧」として続いている。毎年五月の「浜松まつり」では百六十あまりの町が参加する「凧揚げ合戦」(別名「けんか凧」)が行われており、凧は大きいもので畳十帖分にもなる。
日本側の石川エツオ代表は、「凧揚げを通して在伯日本人とブラジル人の共生社会が構築され、ますます交流が盛んになることを期待したい」と話している。凧揚げに関して静岡県人会関係者は、移民百周年協会や日本側からまったく連絡がないため、県人会単位での凧揚げ参加や歓迎会などは、予定していないという。