ニッケイ新聞 2008年5月31日付け
三十日付け伯字紙によると、二十九日に国立インジオ保護財団(Funai)が、ペルー国境に近いアクレ州の先住民部族の航空写真を公開。二十年前から、存在すると言われながら、実態が知られていなかった未知の部族の存在が世界中に報道された。
エンヴィーラ川流域に住むこの部族は、アクレ州内の未確認四部族の一つ。二百五十人余りが六集落で生活している。州内四部族の総人口は五百人超と見られているが、Funaiでは、法定アマゾンには白人社会から孤立、絶縁状態の部族が六十八あるという。
先住民の伝統や生活保護の立場のFunaiが社会から隔離された部族の存在を公開したのは、孤立、絶縁状態で生活する部族の存在を証明し、先住民問題への問題提起とするため。と同時に、国境地帯ではアマゾン地域共通の森林伐採の問題他、コカ栽培、その他の国境警備の問題もあり、ペルーからの侵入者に対する警告の意味もある。
今回のように隔離された部族の場合、Funeiでは、伝統的習慣や環境を保つため、先住民との接触を避けるが、その陰には、白人社会との接触で、新しい病気がまん延したり、部族の伝統や文化の喪失が起きたりといった諸問題がある。
一方、先住民が奴隷労働状態に置かれたり、非先住民と混在したりする場合、問題はより複雑となるが、米作農家の農場職員が先住民に発砲する事件も起きたロライマ州知事は、政府の先住民政策は無責任で矛盾だらけの上、国益を犯すと批判。「先住民に土地は不要。必要なのは要職と市民権、支援」と、保護区の存在そのものさえ否定した。また、米作農家代表のクアルチエロ氏は、保護区を定めて先住民を擁護し、非先住民の撤退を求める政府の立場をテロと批判している。
また、先週以来、アマゾニア州の先住民保護区でマラリヤと肝炎発生の他、四州で先住民が国立保健財団事務所を占拠、人質をとって保健衛生面の改善などを要求といった事件も続いている。
白人社会と共存する先住民は、社会支援なしには基本的生活も困難となる様子に、先住民にとっての幸福と真の共存のあり方が問われている。