ニッケイ新聞 2008年5月30日付け
ルーラ大統領の胸中は、マリニョ社会保障相とマルタ観光相の二人が六月五日閣外へ去るので後任選びに苦心と二十五日付けヴァロール紙が報じた。先ず浮上したのが、管理人の銀行口座を無断開示して最高裁判決待ちのパロッシ前財務相だ。
前財務相を次期大統領選で空席になる要職の後任に、据える考えだ。訴訟の件は、
六月五日前に最高裁のメンデス長官が棄却するよう祈っている。前財務相に対する裁判としては、訴訟内容が単純だというのだ。
リベイロン・プレットのゴミ会社との一件は片田舎の事件で、前財務相が足を取られることではない。前財務相も密かに、ブラジリアの動きを打診している。控えめなことでは、ジルセウ前官房長官とは対照的だ。
大統領は、パロッシ前財務相にだけ手を貸し、裁判から釈放しようと思っている。場合によっては、パロッシの次期大統領候補もある。ロウセフ官房長官は最近支持率調査で六%上げたが、まだ目標には遠い。
パロッシなら、何をしなくても二〇%は固い。PT(労働者党)党内の求心力としても使え、全国的にまとめる力もある。その点ロウセフ官房長官は南リオ・グランデ州に限られ、生まれ故郷のミナス州も集票力はあるが、全国には物足りない。
ゴーメス下議(PSB=社会党)も大統領選に食指を動かしている。大統領選で連立党の支持を得るには、財界や金融界の力を借りずに、他を押さえつける位の政治力が必要である。
パロッシ帰還で気をもんでいるのは、マンテガ財務相らしい。パロッシの観光相就任は、腰掛けに決まっている。それともマンテガを財務相から引きずり下し、観光相へ飛ばすかもしれない。