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世界を広げる読書とブラジル=読むのが好きな人は32%=愛読家を育てる鍵は家庭に

ニッケイ新聞 2008年5月29日付け

 発見当時、ポルトガル国王に「種さえ蒔けば何でも出来る」と報告されたブラジルの、「何でも出来る」に読書習慣は入るのか。どうすれば読書習慣は身につくのか。こんな素朴な疑問が生まれそうな調査結果が報告された。
 二十八日付けエスタード紙によると、ブラジルの読書愛好家は三二%で、本は必須のはずの学生ですら、年間の読書量は七・二冊、しかも、自分が選び、興味を持って読んだ本は一・七冊という。
 全年齢層を対象にした初めての調査結果だが、読書の動機は、学校が指定したが七〇%、好きだからが五二%、一般知識を身に付けるためが四一%、最新の専門知識を身に付けるためが一五%など。八一%が年に一冊以上の本を読んでいるが、一冊も読まない一〇%、字が読めない六%という数字も出ている。
 また、余暇を過ごす方法としては、テレビが八〇%、音楽五九%、友人と出かける四五%、休息四二%、本、新聞、雑誌を読む三八%、インターネット三〇%の順。大卒以上の人の六三%は読み物を定期購読している。
 読書量には収入、学歴や地域差もあり、最低賃金(以下、最賃)十以上の人は五・三冊読むが、最賃一つ以下だと一冊。南伯では四冊読むが、北東伯では〇・一冊。女性は二・四冊読むが男性は一・一冊。大卒以上なら三・八冊読むが、四年生以下の学歴の人は〇・四冊など。
 読書習慣に影響を与えた人は母親六二%、教師三七%、父親三二%とあるほか、四三%が一番本を読んだ時期は十歳までと回答。幼少期の読み聞かせや、読書する両親の後姿や助言など、家庭の影響は大きいといえる。
 また、世界的には、フランス七冊、アルゼンチン五・八冊、スペイン五冊といった読書量統計もある。学力や理解力、想像力、知識量の基礎となる読書量をみれば、ブラジル学生の学力が国際的には低いことや、高校三年で八年生程度の読解力との調査結果も頷ける。
 手さえ伸ばせば広がる世界は無限となる読書。本が高いとか、図書館や本屋がない、または整備されていないといった点の改善も待たれている。