ニッケイ新聞 2008年5月29日付け
セーラサンパウロ州知事(PSDB=民主社会党)は二十七日、ブラジル銀行へのノッサ・カイシャ(NC)売却にサンパウロ州電力(CESP)を付属品として含める意向を表明した。
同取引には、三つの思惑があった。一、民営化でないこと。二、職員は公務員として勤務継続ができること。三、CESP営業許可更新の権限を連邦政府から外すこと。三案は、連邦政府にとっても関心事である。
サンパウロ州知事は二〇一〇年の大統領選に向け、ノッサ・カイシャの職員一万五千人の支持票を確保したようなものといえる。同職員が、公務員試験を経ずにブラジル銀行の行員になれるのも幸運だ。
民営化ならば温室育ちの公銀行員が、木枯らし吹きすさぶ民間銀行に放りこまれ、勤務評定で路頭に彷徨うこともある。公銀の元行員が新聞ダネになるのは、想像しても寒気がする。
発電所の営業権更新についても、連邦政府は発言内容を変えている。二〇一一年就任の新大統領が、契約更新期の二〇一五年に善処するという。前回のCESP入札では、契約更新が不透明なため、入札は失敗に終わった。同件についてロボン鉱動相は、六月十五日までに委員会を設立、更新規定を決めることにした。
CESPの売却には、投資済みと未投資部分の問題があって入札で決められないことがあり、州政府にそれの決定権限もなかった。それでCESPとノッサ・カイシャをからめたようだ。
選挙民は、ノッサ・カイシャの売却とCESP民営化の違いを理解できると見ている。イタウ銀行がパラナ州立銀行を吸収し、行員の末路は周知の通りだ。それでブラジル銀行のサンタカタリナ州立銀行買収に舵をとったと思われる。