ニッケイ新聞 2008年5月28日付け
環境相の交代劇直後の二十二日伯字紙に、アマゾンで森林伐採増の報。世界的にも台風やサイクロン、竜巻、南北極の氷が溶け海面上昇など、地球温暖化につながる報道が多い中、自分たちにも何かできないかと思わされる記事が二十七日エスタード紙に列挙された。
一つは、サンパウロ州ブロッタスでの使用済みの食用油を車の燃料に再利用との話。近隣の人たちから回収した使用済み食用油を精製してディーゼル替わりに使用し、経費削減と環境に優しいエネルギー対策に成功している。
サンパウロ市の交通対策として自転車利用という案や、大サンパウロ市圏で、早ければ七月から走っても水を排出するだけの水素燃料バス導入との報や、アルコール燃料バスのテストという報も喜ばしい。
リオのごみ集積場が満杯で、新しい場所が必要との記事がある一方、サンパウロ市のごみ処理場で発生するメタンガスによる発電や、このメタン燃焼がサンパウロ市の温室効果ガス排出権取引第一号(昨年九月に成立)となったことなどを掲載した「炭素ゼロ」の折り込み記事など。
国内でも二〇一二年までに十二億ドルといわれる排出権取引は、京都議定書にあるクリーン開発メカニズム(CDM)に基づいた二酸化炭素(CO2)の売買で、国と国連が温室効果ガスの削減効果を認めた場合に成立。欧米の銀行などが、自国で削減しきれないCO2を、同じ量のCO2削減につながる植林や水力発電などの費用に換算して買い取る形が多い。
ブラジルの国民一人あたりのCO2排出量は一・八四トンと低い(米国は一九・六一トン、日本は九・五トン)が、それでも、再生燃料・エネルギー(バイオマス燃焼やエタノールなど)の使用や、電力節約、車の使用を減らす、買物袋持参など、CO2削減への工夫の余地はまだ多い。
配達経路の見直しや事務所での再生紙利用、植林などを推進して効果をあげる企業も増えてきているが、家庭でも、ごみ分別や古紙の再利用、エアコンではなく扇風機など、知恵を出し合い、地球との共存の道を探る必要が訴えられている。