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ウナスール=発足合意のみで閉幕=ブラジルの思惑は空中分解に

ニッケイ新聞 2008年5月27日付け

 二十三日開催された南米首脳会議は、ルーラ大統領の「南米安保理」の創設提案が不発のうち、ウナスールの発足合意だけで閉幕と二十六日付けエスタード紙が報じた。大統領は、国際政治の権力図を塗り替えるための材料が揃ったとして、南米各国の結束を訴えていた。
 ブラジルの思惑は、三点で空中分解した。一は、南米安保理の創設。二は、地域和平の柱になる理事国の選定。三は、FARC(コロンビア解放前線)の位置付けだ。
 会議不発を色濃くしたのは、エクアドルのコロンビア非難と南米各国が経済的余裕のないことだ。ウナスールは個々の国益ではなく、南米全体の利益であって、従来の地政的概念を変えるよう大統領は求めた。
 各国代表は民主的な選挙によって選出されたので、南米は国際金融の投資対象国となっていることを強調した。世界の多くの地域は食糧不足によって平和が脅かされているのに、南米だけが食糧供給国として期待されているという。
 ウリベ大統領は南米安保理が、ブラジルにとって高い構想になると述べた。FARCをテロと位置付けしないと、南米全体が民主主義を敵視するテロリストの遊園地になる。ベネズエラと同席するような南米安保はあり得ないと宣言した。
 会議中に三回停電となり、会議の粗末さを示唆した。ベネズエラのチャベス大統領は、停電をブッシュ米大統領の仕業だとジョークをとばした。
一回目はエヴォ大統領の演説中、二回目はバチェレ大統領の演説を中断、三回目はウリベ大統領がウナスール発足合意書サイン中に停電した。