ニッケイ新聞 2008年5月24日付け
五月八日午前三時ごろ、サンパウロ州イビウーナ市の佐伯孝雄さん(福岡県出身)宅に二人組の強盗犯が押し入り、息子が銃で撃たれて死亡、佐伯さんが頭部を撃たれ重体になる事件が起きた。
サンパウロ総領事館によれば、佐伯さんと息子夫婦、その娘の四人が自宅で寝ていたところ、拳銃で武装した覆面姿の二人組が「強盗だ」と叫んで侵入。佐伯さんと息子が抵抗したため撃たれ、犯人は車などを盗んで逃走した。犯人は現在も逃走している。
佐伯さんと息子はソロカバ市内の病院に搬送されたが、すでに息子は死亡、佐伯さんは一命を取り留め、現在も入院している。
知人の池谷正二さん(73、同市在住)によれば、佐伯宅に強盗が入ったのは二回目。「人付き合いは多くないがまじめな人。ブラジル人らとのトラブルは聞いていない」と話す。
佐伯さんは九五年ごろ、同市セントロから十キロほど離れたところにシッチオを購入。アジサイを中心に花卉栽培をしている。
同市では、四月十九日にも、日本人の家に同様な手口で二人組の強盗が侵入、被害者に怪我はなかったが、現金九十レアル、自宅に保管していた拳銃三丁、オーディオ機器、草刈り機などを奪い、逃走する事件が起きている。
凶悪事件が近年多発しているのを受け、先ごろイビウーナ文協で開かれた役員会議では、安全対策について検討。同市の警察署に警備の強化を要請する考えをまとめているという。
同領事館では、「被害にあった場合は身体的被害の防止を第一に考え、抵抗や逃走などを試みないこと。どのような事件でも速やかに警察または当館へ連絡してほしい」と呼びかけている。