ニッケイ新聞 2008年5月21日付け
十九世紀後半に渡伯し、四年の滞在後、日本・ポルトガル語辞書を編纂した大武和三郎(1872~1944)の波乱万丈な人生を紹介するパンフレットが完成した。
サンパウロ人文科学研究所(人文研)がブラジル日本移民史料館と共同で発行。希望者に無料配布される。
ニッケイ新聞紙上で今年二月から三月にかけ連載された「日伯友好の礎 大武和三郎~辞書編纂と数奇な運命~」(堀江剛史記者)の記事を中心に写真や年表などを加えた四十四ページ。
ブラジルの軍艦で渡伯、海軍兵学校に学び、帰国後はブラジル公使館の通訳官を務め、初期移民導入に関して翻訳なども行った。辞書編纂に執念を燃やしたブラジルと移民を愛した明治人、大武和三郎の人生を知る一著だ。
約十年間、大武の検証を行ってきた人文研の森田左京氏は、「笠戸丸以前にブラジルに滞在、日伯友好のまさに〃懸け橋〃となる辞書編纂に生涯を費やした気骨ある日本人がいたことを多くの人に知ってほしい」と話している。
希望の人は人文研(電話=3277・8616)まで。