ニッケイ新聞 2008年5月20日付け
「日伯交流元年特別御陵墓参訪日団」が四月二十三日、東京都内のホテルに小泉元純一郎総理を表敬訪問した。小泉元総理は非常に和やかな表情で、〇四年に訪伯時を振り返り、「コロニアのみなさまには大変お世話になりました」と感謝の言葉を述べた。また滞聖中に文協ビルで講演したときに涙を流したことに触れて、「グァタパラのことを思い出して絶句してしまいました。あの時は失礼しました」と笑顔で懐かしそうに話したという。
同訪日団は日系旅行会社ブラスビア(石井久順社長)の主催。団長はサンパウロ大学(USP)歯学部教授で、南米剣道連盟会長の玉置正さん。サンパウロ州リンス市のカサデイ・ヴァルテル市長も同行し、一行約十人は四月十八日から今月一日まで滞日した。
石井社長によれば、小泉元総理は当初十五分を予定していた懇談を三十分以上に伸ばし、団員らと和やかに談笑。カサデイ市長が今年七月にリンスで開かれる移民百周年の式典への出席を要請したところ、「今でもそちらに行きたい気持ちですが、政界でいろいろと問題がありますので」と丁寧に返答したという。
一行は二十一日に東京都八王子市にある多摩・武蔵野御陵で大正・昭和天皇の墓参りに訪れたほか、二十五日に静岡県掛川市役所を訪問。通訳五人組の一人で同市出身の平野運平の胸像設置費用として、石井社長は静岡県人会を代表して、十三万七千五百六十七円と三百ドルを戸塚進也市長に手渡した。同県人会の会員らが集めた浄財で、同市長は感謝の意を示したという。
石井社長によると平野の胸像は六月十八日、設置場所となる同市内の生涯学習センターでお披露目式が開かれる予定。同市長は「県人会の人たちにも是非出席していただきたい」と述べたという。
一部の団員らは二十四日、二十八日、東京と神戸で開かれた日本側の移民百周年記念式典に参加した。