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環境相が失意の辞任=国際的圧力は必至=四面楚歌の中苦汁の決断=PTの顔、もう一つ消える

ニッケイ新聞 2008年5月15日付け

 マリーナ・シウヴァ環境相は十三日、同相五年余の在任中、環境計画が大統領の全面的支持が得られなかったとして辞任した。最近ではウンジェル長期計画相との間で、法令アマゾンの持続可能プランを巡って意見が対立。同相の辞任には、Ibama(アマゾン開発庁)総裁と次官も同道する。同相は辞任後、上議に復任。
 シウヴァ環境相は、ジルセウ前官房長官とパロッシ前財務相に次ぐPT(労働者党)の看板と見られていた。同相の辞任でPTの顔は、大きく塗り替えられそうだ。環境相後任には、アクレ州のヴィアナ前知事が有力視されている。
 同相の計画が頓挫したのは、主に次の四点。一、遺伝子組み替えの容認。二、サトウキビ栽培の侵入。三、熱帯雨林での水力発電所建設。四、森林伐採の譲歩などだ。
 同相は閣内でも、ロウセフ官房長官やステファネス農相との対決姿勢を崩さなかった。一月には森林伐採防止を巡って大統領とも意見を異にし、国外での反響を呼んだ。これから、国内よりも国外で、同相の辞任インパクトが予想される。
 同相はPT政権では珍しい清廉潔白な政治家で、汚職に無縁の人だ。これで喜びそうなのは、官房長官と農相、ロウセフ派の州知事、カブラル・リオ州知事、長期計画相、副大統領、CTNBio(バイオ委員会)、サンフランシスコ川疎水工事関係者など。
 マリア・オズマリーナ・シウヴァ・デ・ソウザ前環境相は、密林に生まれ育った生粋の環境主義者だ。その後、「人間と自然の共生」、「自然破壊の限度」を発表。世界的に環境理論のテーゼが認められた。
 十四歳、リオ・ブランコ市で女中を務めながら苦学。十七歳、尼僧志望。そのころシッコ・メンデスの労働運動に挺身。CUT(統一労組)アクレ支部を設立。共産主義者と誤解され、学校から訓戒処分。アクレ大で歴史と神学を専攻。「解放の神学」を習得。