ニッケイ新聞 2008年5月14日付け
世界経済が七〇年代程ではないにしても第三次石油ショックを迎えて揺れている中、ブラジルはエタノールのお陰で息をついた。ゴールドマン・サックス投資銀行の予測では、六カ月後から二十四カ月以内に二百ドルに達するという。
第一次石油ショックは一九七三年、アラブ諸国の親イスラエル国への石油供給拒否で起きた。ブラジルは当時、経済成長率一四%を達成していた。しかし、その翌年から激減し、〇・八%まで落ちた。その後は債務危機で苦汁を味わった。
今回の石油ショックでは、エタノールの値上がりが期待され、さらに世界中の投資が集まる。岩塩下油田には投資の励ましになる。ジョージ・ソロスやビル・ゲーツ、レリー・ページ、セルゲイ・ブリンが、ブラジルに食指を動かしている。
英系メジャーのBRは、既に行動を起した。エタノール業界は二〇一二年までに、三百億ドルの投資と百万の雇用創出が見込まれている。市場はまだエタノール食糧危機説でもたついているが、生産は着々と地盤を固めている。
石油ショックは、農業資材の値上がりにより農業生産コストを引き上げ、インフレをもたらす。しかし、ブラジルは七〇年代のようなショックの影響を受けない。七〇年代の自給率は、僅か二〇%であった。それが現在は、毎日消費する百九十万バレルの石油を自給できるからだ。