ニッケイ新聞 2008年5月13日付け
下院監察委員のオリベイラ下議(PR=共和党)は十日、パウリニョ労組理事長ことパウロ・P・シルバ下議(PDT=民主労働党)のBNDES(産業開発銀行)融資にからむ疑惑で執行部を飛び越え、倫理委員会で議員権はく奪の是非を図る意向を示した。同理事長の地位は複雑なので、一挙に倫理委員会の判断へ委ねたらしい。
盗聴記録には、首謀者モウラ容疑者が「パウリニョ理事長の分け前である」とする談話があり、連警は理事長がBNDES(産業開発銀行)の自治体融資横領に関与した容疑を益々固めた。
同理事長の横領関与は、監察委員会が組織する院内調査委員の予備捜査も経ず、直接、倫理委員会の議員権はく奪審理へ付するという。理事長の地位は複雑微妙だから監察委員会が手を下すより、検察庁の調書をもとに議会制度に照合し、倫理委員会の判断に委ねるのが上策とした。
オリベイラ下議は当初、告発をイヤガラセと判断した。理事長自身も、本会議で釈明をした。しかし、検察庁が入ったことで、既成事実があると見た。後は連日、由々しき新事実の発覚である。
横領した不正資金の隠し場所と見られている理事長の妻主宰のNGO(非政府団体)メウ・グリは二〇〇二年と二〇〇三年、BNDESから直接資金を受け取った。当時は首謀者モウラ容疑者がBNDESの役員に参画していたので、癒着関係が疑われている。
また、組織の指南役と見られる軍警中佐コンザーニ容疑者の存在が、連警にとって明白でない。軍警内では信任職にあり、労組理事長の用心棒という役柄がかみ合わないという。中佐は理事長に、連警は犯罪捜査の域を超え、政治の黒子であると訴えた。