ニッケイ新聞 2008年5月13日付け
サンパウロ市の新名所と目され、世界でも珍しい二重構造のつり橋、オタヴィオ・フリアス・デ・オリヴェイラ橋の開通式が十日に行われ、同日十八時からは、車の走行も始まった。
十日付けエスタード紙、十一日付け伯字紙によれば、マルタ市長の時から始まったこの橋の工事は、カサビ市政最大事業の一つ。当初予算を大幅に上回る二六万レアルを費やして開通式に至った。
橋の名は、昨年四月に九四歳で亡くなったフォーリャ・デ・サンパウロ紙創始者オタヴィオ・フリアス・デ・オリヴェイラ氏の名前からつけられた。市南部に続くロベルト・マリーニョ大通りとマルジナル・ピニェイロスをつなぐ橋の開通により、市南部への交通は最大四五分短縮されるといい、モルンビー地区やイタイン・ビビ地区の交通渋滞緩和に大きな役割を果たすと期待されている。
では、開通前からサンパウロ市の新しい名所と目され、絵葉書にもなる予定のこの橋の特徴は何なのだろうか。
まず、X字形の高くそびえる橋脚。一三八メートルという高さは四六階建てのビルに相当し、サンパウロ市で七番目に高い。また、その橋脚から伸び、黄色のポリエチレンによって保護された鋼鉄製のロープは、世界最大となる六〇度までの角度で、上下に交差する橋板を支えている。一本一本長さの違うロープは、直接交差することなく建て上げられている。
また、片側三車線を有する橋板部分が、美しいカーブを描きながら橋脚部分で上下に交差しているのも特徴の一つ。この橋板部分が、川や川岸に足場を組むことなく、支柱となる橋脚部分から張り出すように形作られて行ったという点でも特徴があるという。
この橋の完成後は、延長線上のトンネル工事なども続くが、技術の粋を集めた橋の開通により、どの位の交通緩和につながるかも注目されている。