ニッケイ新聞 2008年5月10日付け
政府は八日、経常収支の赤字を克服するため、輸出を奨励する投資促進や技術革新などを盛り込んだ工業生産の強化政策を打ち出す意向を表明した。具体案は十二日公表するが、二〇一一年までに二百五十億レアルの予算枠で税制恩典やBNDES(産業開発銀行)の低利融資を優先部門へ供与する。
工業生産の強化政策は、PAC(経済活性化計画)に並ぶ二大政策になるとマンテガ財務相が宣言した。減税案は当初八十億レアルの規模で、ロジスティックの節約と国際競争力を強める部門などが優先されるようだ。
第1四半期の経常収支が赤字となったことで、経済スタッフは不吉に思ったようだ。税収は再々、記録更新で潤った。今度は生産強化で国庫から吐き出す意気込みらしい。
エンジンのかかりが悪かったPACは今、政府のけん引車となった。生産強化政策も、当初は試行錯誤があっても、エンジンはかかると財務省が信じている。政府は生産強化の四大目標を掲げた。
一、投資をGDP(国内総生産)の二一%に引き上げる。二、ブラジルの輸出総額を世界貿易の一・五%へ促進する。三、輸出零細小企業を一〇%増やす。四、調査や開発への民間投資をGDPの〇・六五%へ引き上げるなど。
ジョルジェ産業開発相は、生産強化政策は原則として優先順位はなく、全二十四分野を対象とし、どこにも属さない分野をETCで一括するという。時代は常に変化し、やってみなければ何がよいか分からないと述べた。
優先や非優先を決めるのは、政府でも市場でもなく国民自身だとした。政府機関は、仕事の環境つくりと必要に応じて頼りになるテコであると同相は説明。政府がGEから四十年かけて作った大型機関車を購入したのは、誤りだという。
なぜブラジルは、機関車製造機を買わないのか。なぜ自分で材料を作らないのか。なぜブラジル製の機関車を輸出しないのか。ドル安は、嘆くだけが能ではないと戒めた。