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上院基幹委員会=喚問は官房長官に凱歌=鉄の女、箔をつける=一騎当千の闘士物怖じせず=大統領選街道をひた走り

ニッケイ新聞 2008年5月9日付け

 上院基幹委員会の喚問に出頭したロウセフ官房長官は七日、前大統領の機密費は機密とされる時期を過ぎ、最早、機密といわれる性質の文書(ドシエー)ではないと抗弁した。質疑応答でマイア上議(DEM=民主党)が、官房長官は軍政時代に拷問で鍛えた詭弁の名人で国会議員も言いくるめると糾弾し、やぶ蛇になった。
 野党の官房長官つるし上げは失敗と、与党が見ている。野党が目論んでいた、PAC(経済活性化計画)は有名無実の政府宣伝だとする戦略は見事かわされたようだ。野党が責任追求のネタとした前大統領の機密も同長官にいなされた。
 質疑は、マイア上議の質問攻勢で高潮した。「官房長官は、ウソつきの名人である。軍政時代は拷問を恐れてウソをいい、ドシエーについても、前回は機密漏洩を犯罪といい、今は機密ではないとウソをいっている」と同長官を糾弾した。
 「拷問を恐れてのウソ」は、大きな波紋を呼んだ。死を目前にしたウソの供述は、国民の生き残る権利だと全国弁護士協会(OAB)が声明を発表。マイア上議の引例は、告発として相応しくないと質問者を咎めた。
 ルーラ大統領は、第一ラウンドで見せたロウセフ長官の腕前を賞賛した。与党は援護射撃も用意したが、同長官が一人で撃退した。喚問前の支持率二%が、喚問で八%へ上り、さらに一二%へ上昇する見込みだ。
 喚問前は気の進まぬ結婚を強いられる乙女のように萎れていた長官が、生き返ったようだ。ドシエー問題は、大統領候補の命取りになりかねない関門であった。支持率では、ネーヴェス知事を一歩抜いたようだ。
 喚問に緑色のスーツを着て行ったのも良かった。議長室から会議場までの八十米は、多数の与党関係者に囲まれ、花嫁の入場のようであった。喚問は世紀のショー。母の日にちなんで「PACの母」を祝う準備が進められている。