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他人が家に入ってきたら=先住民と米作農家抗争事件=法相が現地訪問しなだめる

ニッケイ新聞 2008年5月8日付け

 六日、七日の伯字紙によると、非先住民立退き問題で緊張が続いているロライマ州ラポーザ・セーラ・ド・ソウ地区で、立退き反対の米作農家と先住民の間で流血事件発生。米作農家代表のパカライマ市長クアルチエロ氏らが逮捕された。
 流血事件の発生は五日朝。百人を越す先住民が市長所有のデポージト農場に侵入して小屋を建設したところ、農場職員二人が来て、撤退を要求。先住民が拒否したため引き上げた職員らは、間もなく、他の四人とともに現場に戻ってきた。
 この時点で、職員らは警告もなく発砲。手製爆弾も使用し、十人の先住民が負傷したと先住民側は主張。農場側は、先住民が矢を射掛けてきたから防戦したまでと言う。この時の様子は先住民の一人が録画している。
 事態を重く見たジェンロ法相は六日に現地入りし先住民と会談。「連邦警察が責任を持って処理する」と約束し、これ以上ことを荒立てないよう要請した。また、保護区存続についての最高裁判断は十五~三十日のうちに出るとも発言した。
 法相訪問後、連邦警察は市長の農場に向かい、殺人未遂、犯行集団組織化、爆発物所持の容疑で、市長とその息子、農場職員十人を逮捕した。農場内では爆発物や製造用物資、防御用の盾などが押収されたが、銃器類は発見されなかった。
 市長逮捕にあたっては、治安部隊や連邦警察に対する投石などもあり、警官らは威嚇用の爆弾、ゴム弾、催涙ガスで抗戦。住民三人が負傷し、市長派の先住民一人が公務執行妨害で逮捕された。
 州経済を考え、米作農家排除に反対のロライマ州知事は六日、訪問先のブラジリアで先住民の農場侵入はテロ行為と非難。これに対し、国家弁護氏らは合法と発言している。
 一九九七年創設のパカライマ市が属する先住民保護区は一九九一年制定など、先住民にとっては、自分たちの領土を侵したのは非先住民。土地の占有は自分たちの当然の権利であると主張している。