ニッケイ新聞 2008年5月7日付け
マンテガ財務相は六日、投機資金の乱入を懸念し、何らかの制御棒を設置する意向を表明したが、ブラジルに入る外資は、一部を除いて長期の直接投資であると経済学者のミング氏はいう。風を制御するより蝋燭が消えないように工夫せよと。
ブラジルを「契約の地」と決めてくる資金は、ブラジルにとって歓迎すべき資金で、管理も制限も必要ない。大量の外資が流入すると為替が混乱し、レアル通貨が高騰、ブラジルに経済不安をもたらすというが杞憂だ。
外資が満潮のように押し寄せ、干潮には持ってきたものより多くのものを持ち去るというのが常識であった。しかし、ブラジルが投機資金の餌食にされた時代は終わった。ブラジルは成長し、良識に従って経常収支を管理する国となった。
投機資金が狙うのは、経済機構が未熟な国である。ブラジルでは、投機資金が入るとしても少数派である。外資流入が為替管理に支障を来たすといっても、ドッと押し寄せドーと引き、国家経済に取り付けを起すようなことはない。
為替市場は、来るものと去るもので自然に均衡が取れる。悪貨が混じっても、良貨が消化する。人為的に外資流入を管理制限しなくても、市場自身が自動的に制御する。懸念する経済不安も解決する。短期の投機資金管理は、労多くして効の少ないものである。
外資の入るルートは、先ず確定利付きファンドで旅装を解く。少し様子を見てから、株の売買に入る。旅人が立ったり座ったりしている間、指図はできない。IOF(金融税)という通行料を取る話があったが、そんなもので資金の流れは変わらない。