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移民の「第一歩」をデジタル化=「氏名」「船名」「配耕地」など10項目=ひらがなとローマ字で=「あしあとプロジェクト」=すでに70%終了

ニッケイ新聞 2008年4月30日付け

 ブラジル日本人移民のルーツを記録に残そうと、ブラジル日本移民百周年記念協会の「移民の歴史記録あしあと委員会」(山下リジア委員長)が〇五年八月から取り組んできた乗船者名簿のデジタル化作業が、順調に進められている。すでに戦前移住者を中心に約二十万人をコンピュータに登録、現在、六〇年代前半の戦後移住者の記録作業をおこなっている。山下委員長は、「全体の七割ほどまでデジタル化した。今年末をめどに作業を終えられたら」と話している。
 「あしあと」プロジェクトは百周年記念事業の一つで、ブラジル日本移民史料館所蔵の乗船者名簿を「氏名」「船名」「配耕地」など、十数項目をデジタル化するもの。一九〇八年の笠戸丸移民から七二年までの戦後移住者の名簿をひらがなとローマ字で登録している。
 レアル銀行の協力で、将来的には、移民史料館とブラスの移民博物館に、乗船者の検索機を一台ずつ設置する予定。また、移民史料館が現在進めている所蔵史料のデジタル・アーカイブ構築事業のひとつとして、インターネットでも名前検察できるようにするという。
 ボランティアには年配の多くの一世が協力した。元委員長の島袋レダさんの叔父にあたる中林昌夫さん(85・サンパウロ市在住)は、二年ほど前から暇をみて自宅でローマ字化してきた。「読み方が複数ある苗字も多く大変だった。わからないものは仲間うちで確認した」と振り返る。
 ローマ字化にあたっては、とくに沖縄県出身者の名前の判読が難しかったため、作業には沖縄県出身者が主にあたったという。
 今後は、移民博物館所蔵の乗船者記録との照合作業をおこない、「データを正確なものにしていきたい」と山下さんは話す。
 山下さんはじめ、コーディネーター役の高田修子さん、中島恵美子さんらも「無事に作業をやりとげなくては、と責任を感じている。学術的な利用に耐えられるようなものにしたい」と意気込んでいる。
 二十四日午後、関係者による説明会が開かれ、グローボ局が取材に駆けつけた。