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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年4月30日付け

 まだ大半の日本人が、この国で、農業に従事していたころ、農作物が天災や害虫によって、一夜のうちに壊滅的な打撃を受けたとき、どうしたか。家族がきょう食べるコメもなくなったとき、どう行動したか▼よく人生の岐路に立ったとき、預言者や霊能者の「おつげ」をきいて(参考にして?)という話があるが、農業者たちは、こうした実体のないものに頼っただろうか。この場合の実体は、銀行が貸してくれるおカネや持っている人が貸してくれる食料のことである▼なぜこんなことを書いたかというと、最近の調査で、日本でテレビ番組の「霊との交信」を信じる女子大生が、半数以上と出たからである(男子学生でも三分の一以上)。女子大生が調査の対象になるのは、一応学識をそなえた若い者、若い者なら、そんなに信じてはいない、という前提のようなものがあったからであろう▼結果は、大方の案に相違したようだ。結果についてのコメントは当然のように「霊界といったものを一概に否定するわけではないが、知性が怠けている」となる▼確たる数字はないものの、私たちの周囲にも、霊界を信じ、その世界に浸る(ひたる)べく、行動を起す人は少なくない。そして周囲は、その行動を否定しない。行動を起す動機はさまざまであろう。悩みをかかえているので、その解消になれば、というあたりが多いか。少なくとも「きょうのコメ」のためではない。その意味で、そういう人は、日本の女子大生のように「豊か」なのだ。(神)