ニッケイ新聞 2008年4月29日付け
連邦警察は産業開発銀行(BNDES)の地方自治体融資五億二千万レアルで不正流用を行った事業家や弁護士、政府職員十人の拘束に続き二十三日、組織の首謀者と見られるロビストのジョアン・P・モウラ容疑者を拘束した。同容疑者は、エンリッケ・E・アウヴェス下議(PMDB=民主運動党)とパウリニョ労組理事長に渡りをつけ、BNDESから融資を取り付けた。
公金横領に加担した地方自治体は、リオデジャネイロ州とパライバ州、北リオ・グランデ州の都市。連警報告によれば、同下議と労組理事長が口ききで謝礼を貰ったらしい。ロビストのモウラ容疑者は、パウロ・P・シウヴァ下議(PDT=民主労働党)の元側近であった。
組織は、三州の人口十万人以上の全都市二百を上下水道などで融資の対象とした。融資総額から手数料四%を差し引き、組織に関係する事業家に融資申請書を提出させた。融資金が出ると、事業家を通じて下請け業者にリベートを強要した。
組織は、サンパウロ市の資金洗浄業者に不正資金を渡した。下院の監視カメラは、モウラ容疑者が同下議の議員室を再々出入りしていた様子を撮影した。同下議は、融資を不正目的に斡旋した二人目の議員となりそうだ。
当のアウヴェス下議は、モウラなる男に面識がないという。「労組のパウリニョについては、労組時代の悪評は聞いた。しかし、現在は下議として接しているだけで、個人的には関係がない」と関わりを否定した。
次の標的は、上院議員室のマリア・ダ・グロリア事務長らしい。盗聴記録から、モウラ容疑者のリオ担当で共犯の容疑がある。