ニッケイ新聞 2008年4月24日付け
二十二日夜九時過ぎに、サンパウロ州サンヴィセンテ沖二一八キロを震源とする地震が起き、サンパウロ州、ミナス州、リオ州、パラナ州、サンタカタリーナ州の五州で揺れが観測された。二十三日付け伯字紙によれば、震源の深さは一〇キロで、マグニチュード(M)は五・二の中地震と発表された。
地震が起きた時間帯は、家族でくつろいでいたとか横になっていたという人も多く、サンパウロ市など、地震を感じた人々が多い地域ではパニック状態も起き、サンパウロ市の消防所の電話受信数は一時間に三六〇〇を超えた(通常は一時間に二〇通話程度)という。多くは、三階以上の高さのある建物の住民からで、アパートの住民が皆建物を離れ、消防士による点検後にやっと家に入ったというケースもいくつか報告されている。
サンパウロ州では、震源地に近い海岸部始め、リメイラ、ピラシカバなどの内陸部でも消防への通報などがあったほか、リオ州でも、リオ市内各所やアングラ・ドス・レイスなど、計五州で消防への通報などがあった。
二十二日現在、サンパウロ市内ヴィラ・アウピーナの病院で壁に一メートルの亀裂が入ったほか、グラジャウ、ブタンタン、ヴィラ・エスペランサなどでアパートの損傷、ガス漏れなどの被害は報告されているが、けが人の報告は出ていない。
南米大陸プレートの中央に位置するブラジルは、地震が少なく、サンパウロ市でも、チリなど、プレートの端の地域で起きた地震を感じることはあっても、国内や近海での地震を体感することは少なく、今回が初という人も多い。それでも、一九二二年にサンパウロ州モジ・グアスでM五・一の地震が起きているほか、今回の震源地では二月八日にもM三・九の地震が観測されていたという。
また、ミナス州イタカランビでは、昨年十二月九日のM四・九の地震で国内初の死者が出た後、三月十九日にもM四・〇の地震。また、セアラ州のソブラウでも、二月九日~四月五日に、M三・五~三・九の地震が三回観測されている。
専門家によれば、同一地点を震源とした体感地震が短期間に繰り返されることは珍しく、プレート上の特定部分で小さな亀裂(断層構造)が出来ている可能性や、プレートの移動などで溜まったエネルギーの放出が行われている可能性を示唆している。
過去に起きた国内最大の地震は、一九五五年のマット・グロッソ州ポルト・ドス・ガウッショ(M六・二)のもので、この地域でも、中程度の地震が複数回観測されてきたという。