ニッケイ新聞 2008年4月24日付け
温暖化防止の炭素ビジネスで成金となったブラジル人ペドロ・M・コスタ氏は、国連の環境システム変更で窮地に立たされた。同氏のエコセキュリティー有限会社は、排気ガス削減で目標を達成できない世界の企業へ、クレジットを供給する企業である。
同社は発展途上国へプロジェクトの融資を行い、カーボン・クレジットを取得する。同社は二〇〇七年、九十四億ドルのクレジットを取得した。当初順調に機能していたエコビジネスは、いま終焉を迎えようとしている。
エコ市場に数々のプロジェクトが発表されたため国連の環境委員会は、整備を行った。国連が、エコセキュリティのようなクレジットの仲介業者を検閲するシステムを導入。京都議定書を具体化する仲介業の役目は重要だが、本当に環境改善に役立っているのか疑問を持ったからだ。
炭素クレジットとは、石油や金のように触れることも見ることもできない。実体がつかめない物体の取引である。監督も検査もない掴み所のない取引といえる。クレジットのコスト・ダウンを求めて、途上国で取引は行われる。
クレジットに融資する者とクレジットを買収する者の識別が、途上国では判然としない。プロジェクトの認証も定かでない。プロジェクト関係者は誠実に環境改善に参加しているのか、検査の基準がない。京都メカニズムは、まだ検討の余地がありそうだ。
クレジットを買収する顧客は、EUと日本の企業だ。国連は各プロジェクトに立ち入り検査を始め、実態調査を行った。そうしないと机上の目的達成に終わると見たからだ。また仲介業者は儲かるのに、環境改善の現場は報われないことになる懸念もある。