ニッケイ新聞 2008年4月24日付け
【中国新聞】日本人のブラジル移民百年を記念した、広島市南区生まれの日系人陶芸家仁居樹美さん(60)=サンパウロ市=の個展が、東京都港区北青山のブラジル大使館で、二十二日始まった。五月十六日まで行なわれる。
テーマは「柱」。円筒や細長い鉢のようなパーツが重なりあって天井に届く。日本の竹のように見える物や、ブラジルの熱帯性の植物の茎や木の幹に似た作品もある。また、直径三十センチほどの球形の作品には幾何学的な模様が刻まれ、人工的な感覚と自然の味わいが同居する。
仁居さんは広島市南区生まれ。一九五七年、九歳で家族とともに移住。現地の美術大でデザインを学んだ後、グラフィックデザイナーとして就職した。工芸のマーケットで偶然、日系人陶芸家の作品に出会い、陶芸の基礎を学んだ。
その後はほとんど独学で、東洋的な感性とブラジルの芸術的な風土を融合させた作風を作り上げた。日本でも三回目の個展。
また、仁居さんは日本の若手作家などと協力して、九月に神奈川県川崎市で両国の作家の合同展を開く計画も進めている。
今回は移民百年の記念イベントとしてサンパウロ市が主催する「東京サンパウロ週間」の一環。
仁居さんは「日系人の、さらにブラジルの代表として選ばれて生まれた国で個展が開けるのは光栄。二つの国の文化と風土を一つの作品の中に表現できるのが私の持ち味だと思う。これを機に両国の文化交流が一層進むことを期待する」と話している。