ニッケイ新聞 2008年4月19日付け
レアル通貨は十七日、一ドルに対し一・六五七レアルと四月だけで五・四八%上げた。過去十二カ月の通貨高騰でレアルが、各国通貨の中でドルに対し一八・六一%高とダントツ。
レアル通貨の高騰は、ブラジル産業を空洞化させる。しかし、インフレを抑制し、機械設備の更新や技術導入を促進した面もある。基本金利を一二・七五%へ引き上げた一方で、米国が政策金利を二・二五%に下げ、ブラジルへのドル通貨の流れを作った。
ブラジル国債を購入するドル通貨の流れを利用して政府は、IOF(金融税)の再増税を検討している。IOF増税は、為替対策の中止を意味するらしい。
ルーラ大統領は、二〇〇八年の経済成長率を五%以上と期待している。それには基本金利の引き上げを〇・二五%ずつ三回上げて、一二%で止めるつもりだったようだ。これは、財務省と中銀の足並みが揃っていないためだ。
大統領府は、過度のレアル高に不安らしい。しかし、中銀は強気である。農産物と金属のコモディティ高騰、原料輸出国への有利な展開、長期直接投資の増強、有望な生産部門へのてこ入れ、まさに草木はブラジルへなびいている。
ドルの一・六五レアル以下への下落は、まだ続く。メーカーは最早、政府に為替の逆転対策を期待しない。政府はインフレ圧力に気をとられ、経済成長は忘れたらしい。このしわ寄せは、下半期から明白に表れると予想される。
〇・五%の基本金利引き上げは、国債の金利を二億九千五百万レアル増やしてくれた。ブラジルは豊富な外資を受けながら、その四四%は金融市場へ投下される。生産への投資は、頭が痛いだけだからだ。
大油田が発見されても、その恩恵に浴せるのは適切な工業政策が行われての話である。油田開発に伴う産業基盤が整備されてのこと。それなくしては、ブラジルが第二のアラブになるだけだ。