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食品高騰が脅かす生活=目標インフレの2倍=国際市場の影響は免れない=世界食糧事情は危険水準へ

ニッケイ新聞 2008年4月15日付け

 サンパウロ大学経済調査院(FIPE)は十二日、過去十二カ月における食品の高騰が同期間のIPC(消費者物価指数)四・二九%を二倍以上も上回ると発表したことを十三日付けフォーリャ紙が報じた。食品の高騰は平均で一一・二四%、フェイジョンに至っては一六八・三%も高騰した。コモディティの高騰は、国内への影響を免れないとスタファネス農務相も告白した。
 ブラジルは穀類や肉類の生産国なので、食糧を輸入に依存する国よりインパクトは小さい。しかし、国際的な食糧危機は、すでにブラジルの食卓に上陸している。その上昇傾向は、二年続くと見られる。
 ステファネス農相は、コモディティ市場の高騰が即時、ブラジルにも反映するという。先進国の指導者らは、食糧高騰が途上国では暴動につながり政府の屋台骨を揺するので、世界が最も懸念すべき問題であると指摘した。
 ブラジルは過去十二カ月、インフレが四・二九%という間も、フェイジョンの一六八%を頂点に大豆油が五六%、粉ミルクが四二%、ヒレ肉が二二%と高騰した。平均が一一・二四%で、目標インフレ率の二倍以上となっている。
 食糧の供給増加が見込めるのは、生産者にとって強気市場が到来したときのみである。強気市場は、国際市場の動向による。米国のトウモロコシ・エタノールが生産を継続すれば、エタノール産業も好調で食糧の強気市場は保たれる。
 国際経済が減速しても食糧の需給は、均衡を欠く傾向にある。この不均衡な需給は三年続いているが、誰も危機感を感じなかった。それは、豊富な在庫を食べていたからだ。その在庫も底が見えてきた。
 需給の不均衡が続き、在庫調整も不可能なことが現実となれば、食糧の暴騰が起きる。それは二年後と予測される。ブラジルのインフレが一九八〇年から二〇〇五年の間鎮静化していたのは、農業のお陰である。農業の犠牲で、他の産業が潤ったと農相はいう。
 国際市場で食糧高騰が起きるのは、先進国の保護政策が原因だと専門家は見ている。先進国は保護政策により生産者を怠惰に育て、生産技術の向上を怠ったから。米国がブラジル産エタノールの輸入に法外な関税を課さなければ、九千万トンのトウモロコシを食糧として供給できるのだ。