ニッケイ新聞 2008年4月11日付け
ロライマ州の先住民保護区ラポウザ・セーラ・ド・ソールで米作を営む生産者の立ち退きに、陸軍特殊部隊の第一陣が派遣され、十四日作戦実施のため現地は生産者と陸軍の間で一触即発の緊張した空気が漂っていた。生産者は、死を覚悟の抵抗を宣言した。
事態を憂慮した最高裁が九日、満場一致で生産者立ち退きの強制執行を中止するよう決定した。先に現地で地裁の命令に従った連邦警察の行動が、生産者を刺激したらしく橋梁破壊や国道破損が相次いだ。
これは最高裁が、ロライマ州知事の七日付け請願を受理したもの。アンシエッタ知事(PSDB=社会民主党)は、先住民と生産者の摩擦が益々過激化し内戦になることを恐れた。
連警は、立ち退き中止処分を決めた最高裁が、州政府の立場も考慮しつつ、すでに裁判所で審理中の土地係争も含めた先住民保護区の問題をどう判断するか見ている。
ブリット統合相は、生産者が州財政の六%を稼ぐが、保護区の一%を占有しているに過ぎないという。同保護区は、同州の四三%も占める。一%は保護区見直し理由にはならないが、六%は、同州の財政、治安に欠かせないという。
最高裁処分の反応を州政府は歓迎し、前向きの最終判決を期待している。一方先住民保護団体は、先住民じゅうりんだという。ジェンロ法相は、先住民一万八千人の反抗を警戒し、連警に治安維持を要請した。
アマゾン連隊のペレイラ将軍は、ブラジルがロライマ州に先住民保護区を設置したことで同州を失いつつあると述べた。北伯では先住民保護区のほうが州よりも広く、生産もないのに食客を養っているという。
ブラジルの発展を考えるなら、先住民保護政策は逆行運行をしていると同将軍は見ている。先住民保護区では軍の活動も禁じられ、犯罪者の思うツボである。こんな不合理な先住民保護法を国連で採択し、ブラジルも賛成票を投じたのだと不満を訴えた。